長崎の鮮魚を上海へ輸出

 長崎市の魚市場の卸売り業者である長崎魚市株式会社(県漁連が40%の株主)は、一年前から上海にアンテナショップを常設し、市場にあがるいろいろな鮮魚を、上海に輸出し業績を伸ばしているのだそうです。

 第20回JNN共同制作番組「ふぞろいの魚たち」 | NBC長崎放送
 日本の魚食文化を考える TBS「ふぞろいの魚たち」 - MSN産経ニュース

 中国での魚料理は、淡水魚が中心で調理方法も必ず火を通すのが常識なのだそうですが、そんな市場への新規挑戦を敢行したのでした。
 発端は壮大な志で、日本の魚食文化の変遷で、マグロやサケといった食べやすい特定の魚ばかりが食され、昔は漁師さんが獲ってくるいろいろな魚を食べていた文化が廃れ、魚の価格が乱れ、日本の漁業が危機を迎えている、その危機を打開しようというものです。

 鮮魚を食べる文化がなかった中国に、何故売れるのか。答えは、中国の富裕層による日本食志向なのだそうです。
 番組では、日本人の料理長の下で修行する多くの中国人料理人や、日本で修行し帰国して料理長として活躍する中国人などが紹介され、うろこのとり方から繊細な盛り付けまで、争うほどに熱心に修行している料理人や、中国人顧客の高評価が紹介されていました。もちろん、メニューとなる魚は、空輸されたいろいろな=ふぞろいな魚です。
 鮮魚を食べる日本の魚食の知恵が、中国にも根付き始めているのだそうです。鮮魚が、なにもせず店頭に放置されていた状況から、鮮度を保ち輸送して食卓に乗せられる技術の移転の裏打ちがあることも見逃せません。
 
 番組では、三陸の網元さんの養殖事業や東シナ海まで長期間出かける、漁業の前線の厳しい状況も交えていました。

 マグロに代表されますが、日本の食卓を飾る魚の多くはご承知の通り外国から届いていますね。一方で、日本の漁師さんが近海で獲る魚は、食文化の変遷で偏食され価格が不安定になっている。獲る漁業から、育てる魚漁業に転換しても、赤潮などリスクが大きい。
 マグロや鯨も、それぞれ漁場に近い国が捕獲の制限や、日本の消費量へのバッシングが強まってきている今後にむけ、海洋国家日本は、もう一度環境を度見つめなおしてみる時に差し掛かっているといるのでしょう。

 EUにクロマグロ取引禁止要請 欧州議会が圧力 (共同通信) | エキサイトニュース

 農産物や牛乳でも、中国の富裕層(約 1億人と言われ、日本の人口を上回る勢い)が、日本産を食し、日本の我々庶民は、中国の富裕層が避ける中国産の加工食品を食べたり、衣類を身に着けている時代になってきています。
 かつて、地方で取れた上級品は築地市場に集まり、地方では食べられないとされていましたが、これからは、上海に集まる時代になるのでしょうか?

 日本の魚価の安定と漁業の安定を願い、需要がないと見える新規マーケットを開拓した、長崎魚市の企業としての、国内にこだわらずグローバルな視野の展開で活路を見出すというすばらしさは、同時に日本の今後の食文化や、食糧の安全保障にも問題を提起する話でもありました。


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by yuji_oga | 2010-02-11 15:38 | 気になる話 | Trackback
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