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ソニー 液晶テレビは売り、スマートフォンは買いで二つの合弁解消

 ソニーが相次いで二つの合弁解消を発表しています。
 一つは、テレビ事業の首位奪還を目指したサムスンとの液晶事業の合弁解消。もう一つは、スウェーデンの通信機器大手、エリクソンとの携帯端末の合弁会社を買い取り完全子会社化。
 その裏事情とと題した日経ビジネス誌の記事がありました。
 
ソニー、2つの合弁解消の裏:日経ビジネスオンライン



 ソニーは液晶事業でサムスンとの合弁を解消する意向だ。一方エリクソンとの合弁である携帯メーカーは完全子会社化。スマホからテレビまで「統一ブランド戦略」を推し進める

 ソニーは、韓国サムスン電子との液晶パネル生産の合弁事業を解消する意向だ。合弁会社の持ち株をサムスン電子に売却する方向でこのほど交渉に入った。

 一方、10月27日には、スウェーデンの通信機器大手、エリクソンとの携帯端末の合弁会社を完全子会社化すると発表した。来年1月をメドにエリクソンの持ち分を10億5000万ユーロ(約1100億円)で買い取る。

 赤字を垂れ流し続ける
液晶テレビのパネル生産事業は「売り」、世界的にスマートフォンが普及する携帯端末事業は「買い」、という正反対の判断を下したわけだ。
 平井一夫ソニー副社長は、今年4月に代表権を持つ副社長に昇格してから「テレビ事業の再建は最大かつ喫緊の課題だ」「スマートフォン事業を強化する」と語っていた。次期社長と目される平井氏がその宣言通り、新体制の構築に向けて早くも動き出した。

来年から統一ブランド

 ソニーがエリクソンと、不調だったそれぞれの携帯端末事業を統合して英ソニー・エリクソンを設立したのは2001年。利益貢献した時期もあったが、世界シェアで上位に食い込むことはなかった。
 100%子会社化を機にスマートフォンなどの携帯端末に記載する「ソニー・エリクソン」のロゴを「ソニー」に変更し、ほかのソニーグループ製品と一体的なブランド戦略を推し進める。
 この10年間を振り返ると、統一ブランド戦略を最も成功させたのがサムスン電子だった。携帯電話で「サムスン」のブランド名を消費者に浸透させ、液晶テレビで世界シェア首位の座に上り詰める足がかりとした。
 ソニーもようやく統一ブランドを打ち出すことで、スマートフォンを足がかりにタブレット端末、液晶テレビ、パソコンまで、幅広い製品群で消費者の囲い込みを目指す。既に「プレイステーション(PS)」のゲームが遊べるスマートフォンをソニー・エリクソンから発売するなどしており、ブランドの統一で連携を加速させる。

 一方、テレビ事業は、2011年3月期まで7期連続で赤字に陥っており、累積赤字は4000億円を超えた。
 1990年代後半に人気を博した平面ブラウン管テレビ
「ベガ」の成功体験にとらわれ、2000年代に入ってから薄型化の波に乗り遅れた。巻き返すために手を組んだのがサムスン電子だ。2004年に折半出資で韓国に液晶パネル工場を設立。当時、品薄になっていた液晶パネルを安定的に調達し、世界シェア首位を奪取するはずだった。しかし現実には、サムスン電子にその座を奪われる結果となった
 赤字が解消しないことを受け、ソニーは今年7月以降、「テレビで数(シェア)は追わない」(加藤優・最高財務責任者)方向に舵を切っている。機種を減らして利益を追求する方針だ。
 液晶パネルは現在、中国勢や台湾勢の増産により供給過剰に陥っている。さらに機種を絞って、使用量を減らすこともあり、「サムスン電子との合弁事業を解消しても問題は生じず、むしろ固定費削減につながる」と判断したようだ。ただ市場では「合弁解消がどの程度、損益改善に結びつくかは未知数」(SMBC日興証券の三浦和晴アナリスト)との声も上がる。

 2つの合弁解消によって、テレビからスマートフォンへデジタル家電の軸足シフトを急ぐソニー。その成否は、スマートフォン市場で2強体制を固めつつあるサムスン電子と米アップルに、統一ブランド戦略でどこまで迫れるかにかかっている。


 サムスンとの合併は、シャープなどの国内メーカーとの競争、つまり内向きの目線がありました。しかしそれは、サムスンの生産スケール拡大メリットと、サムスンのブランドイメージアップに大いに貢献しましたが、ソニーにとっては合弁会社からの購入となり、価格が下がり続ける今日では、内製の方が高いし一定量の消費もせざるを得ない状況なのだそうで、コスト高の要因となっています。
 一方サムスンは、量産メッリットとブランドのイメージアップという利益を得ていました。

 ソニーは今後は台湾製などの液晶画面を導入し、コストダウンを推進するのだそうです。サムスンにすれば、ソニー分の安定需要が減ることになります。
 2005年のスエーデンに始まり、2009年のアメリカを経て、2011年の日本と広がってきた地デジ化・アナログ停波に伴うテレビ需要の増加とその反動の流れは予測されたことではあるのでしょうが、2015年の中国のアナログ波停止までの各国の需要変動はどのような動きを予測されているのでしょう。

 ソニーに限らずテレビ事業からの撤退を進める日本の家電メーカーですが、米国のマイクロソフトやグーグルなどはテレビのクラウド化といった様な、テレビという製品そのものを再定義を進めているのだそうですね。
 国産テレビが生き残る道:日経ビジネス

 日本のメーカーの奮起を期待します。

 ソニーがというか、ソニーも注力するスマートフォンに代表される携帯端末事業。他の日本のメーカーともども、先行するアップルとサムスンの二強の争いに、どこまで割り込めるのかも、期待と注目ですね。



ソニー 液晶テレビは売り、スマートフォンは買いで二つの合弁解消_b0055292_23402443.jpg

  この花の名前は、ヤマトリカブト (撮影場所=六甲高山植物園)

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by yuji_oga | 2011-11-13 23:43 | 企業改革
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