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泥沼化する大王のお家騒動 製紙業界の再編に発展の可能性も

 大王製紙の現経営陣と創業家との対立が、時間が経つにつれ悪化の一途をたどり、製造を担う子会社の経営陣の入れ替えで手中に収める創業家と、子会社を切り捨てて新たに製造部門を設立する大王製紙経営陣との攻防で、分裂の可能性が出てきているのだそうです。
 創業家側も、大王経営陣側も他社との連携を匂わせていて、業界再編につながる可能性が出てきたのだそうです。
 
【底流 ニュースの裏側】大王製紙と創業家、泥沼の対立 (2/26 産経)

□お家騒動、業界再編に発展も
 大王製紙の“お家騒動”が泥沼化している。創業家出身の前会長、井川意高(もとたか)被告による巨額借り入れ事件を機に経営陣が「脱創業家」を決断。創業家が保有する関連会社の株式の買い取りを要求したが、逆に創業家は関連会社の経営陣を入れ替え、支配を強化する争奪戦に発展した。経営陣による関連会社切りととれる動きも表面化し収拾がつかない状況だ。製紙業界では、
お家騒動が「業界再編の呼び水になる」との見方も浮上している。

■関連会社“争奪戦”
 「今後も順次経営陣を入れ替える」
 大王の2代目社長で、前会長の父親である井川高雄元顧問の宣言通り、創業家は着々と関連会社を手中に収めつつある。
 今月12日のエリエールペーパーテック(栃木県さくら市)を皮切りに、22日にダイオーペーパーコンバーティング(愛媛県四国中央市)、25日に大宮製紙(静岡県富士宮市)の臨時株主総会を開き、過半数を握る議決権を盾に創業家が提案した取締役を選任した。今後も10社前後の関連会社で総会を予定している。
 元顧問が不正融資を知ったのは昨年3月2日。急遽(きゅうきょ)、当時社長だった意高被告を会長にし、後任には「創業家の大番頭」(関係者)といわれ、信頼の厚い佐光正義社長を就けた。「不祥事が世間に露呈しても創業家を守ってくれるという思惑があった」(同)とされる。
 だが、事件が表沙汰となり、大王の特別調査委員会が事件の原因は「井川父子が持つ絶対的支配権」と断定すると、潮目が変わる。佐光社長は「創業家が復帰することはない」と、創業家との離別を決断した。

■いびつな資本関係
 脱創業家は簡単ではなかった。大王は関連会社が製品の生産を行い、本体は販売に徹するビジネスモデルで成長してきた。ただ、国内連結子会社35社のうち大王本体が過半数の議決権を持っているのは3社にとどまり、残りは創業家とそのファミリー企業が過半数を握るいびつな資本関係になっている。
 「
創業家が一族郎党を役員に就かせ、配当や報酬で利益を創業家に吸い上げるのが目的」(関係者)といわれている。
 監査法人の指摘で、大王本体の実質支配力の弱い関連会社を連結子会社として扱えなくなった。このため、大王はグループで持ち合っていた関連会社株を本体に集め、一時は8社に激減した連結子会社を何とか19社まで回復させた。
 意高被告は関連会社から100億円を超える融資を引き出しており、関連会社の私物化が事件の背景にあるとして、佐光社長は創業家の影響力の排除が不可欠と判断。昨年12月8日に本社で高雄氏と会い、関連会社株の売却を求めた。
 だが、持ち合い株の買い集めに不信を募らせた高雄氏はこれを拒否。逆に支配権の強化に乗り出した。

■自前の「生産体制」
 
大王の経営側も反撃に出た。連結から外れたエリエールペーパーテックなどの工場がある静岡県富士宮市に用地を取得し、来年にも「エリエール」の紙おむつなどの生産を始める計画が明らかになった。創業家が支配する関連会社を切り、自前の生産体制の構築に動き出したとみられる。
 これに対し、「(大王と関連会社は)車の両輪」として、取引の継続を表明していた
高雄氏はさらに激怒。高雄氏は25日、記者団に「王子製紙、日本製紙であろうが、生産委託を受ける」と語り、最悪の場合は大王のライバルメーカーへの出荷も辞さない構えだ。
 「製造と販売部門が分裂状態となれば、事業運営に重大な支障が出るのは避けられない」(アナリスト)。株式市場では、経営が一段と混乱することへの懸念が高まっている。
 製紙業界は、もともと設備過剰による過当競争で、再編圧力が強い。
大王が、創業家の支配する関連会社の製造部門を切り捨てれば、「格好の再編のターゲットになる」(業界関係者)との見方も出ている。
 再編をめぐっては、平成18年に最大手の王子製紙が北越製紙(現・北越紀州製紙)に敵対的買収を仕掛けた際は、当時社長だった意高被告が北越と資本業務提携をし、買収防衛に手を貸したことがある。
 供給過剰の解消を狙い、混乱に乗じて
業界3位の大王に敵対的買収を仕掛けるライバルが現れる可能性は小さくない。逆に、大王の経営陣が脱創業家のため、他社との提携に動くことも考えられる。
 業界関係者は、大王のお家騒動の行方を固唾をのんで見守っている。(米沢文)


 大王製紙は、1962年(昭和37年)、支払手形が不渡りとなり、会社更生法の適用を申請し、その後更生し今日に至ったのです。更生にさいしては、紳士的で互助的土壌のある製紙他社の温情があり、安値販売でシェア拡大するすることを容認されたことが大きいのです。

 業界の温情で今日の発展を得た大王製紙ですが、そこで得た利益は、創業家に吸収される仕組みが構築されていたのですね。その基盤が、会社の財布と個人の財布の区別の曖昧さを招き、今回の事件となったのですね。
 創業家が経営を主導する優良会社(トヨタ、サントリー他)は少なくありません。が、一部上場会社で、このような低次元の私物化している企業はありえません。一部上場会社は、私企業とはいえ社会的責任も負います。
 まして、反省の色もなく泥仕合を激化させているとは...。
 日本の製造業の名折れとと言われてもしかたないでしょう。

 製紙業界も、業界&日本の製造業の信用の回復も込めて、温情は捨て、吸収・再編をし健全化を図るべきでしょう。



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by yuji_oga | 2012-02-26 17:54 | 企業改革
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