国産新型ロケット「イプシロン」 いよいよ打ち上げ

 国産ロケットの代表格、HⅡ型ロケットは、A, B併せて96回中、95回の打ち上げ成功で、96.15%の成功率。日本の累計では、92回中80回で、86.95%の成功率実績なのだそうです。
 HⅡAの打ち上げは、2007年からコストダウンを目的に民間移管され、三菱重工が受注も含め実行しています。そして、2012年5月18日、HⅡA 21号機により韓国から受注したアリラン3号を予定軌道に投入し、初の商業衛星の打ち上げを成功させていることは、諸兄がご承知の通りです。
 成功の実績は国際水準で認められるレベルに達していますが、今後のロケット打ち上げ商戦では、コストダウンが求められ、新たな開発が求められていました。
 その期待に沿うべく新登場したのが、「イプシロン」で、今月27日に打ち上げが予定されています。


 



 【復活への点火 新型ロケット誕生】(上)どん底から出発、「異質」乗り越え) - MSN産経ニュース

 
熾烈な世界市場に低価格で挑む (8/25 産経 【復活への点火 新型ロケット誕生】(下))

 27日に打ち上げる新型ロケット「イプシロン」は既存技術の活用や管制業務の簡素化、機体の自動点検などにより、低コストと効率性を徹底的に追究した。
 先代のミュー(M)5ロケットと比べて、打ち上げ費用は約半分の38億円(定常運用時)に圧縮。さらに平成29年の改良版で30億円以下を目指している。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者は「まだ理想形ではない。性能向上やコスト削減を進め、海外の衛星打ち上げも受注できるロケットにしたい」と話す。
 国産ロケットでは、主力機のH2AがJAXAから三菱重工業に打ち上げ業務を移管し、商業衛星打ち上げ市場への参入を果たした。イプシロンも将来は民間企業への移管を視野に入れている。
 ロケットを安定して運用するには打ち上げの頻度を高め、部品などの関連産業を維持していく必要がある。だが、宇宙開発の予算が伸び悩む中で、政府の衛星だけでは回数が足りない。イプシロンが生き残るには、市場で自ら顧客を獲得することが必要だ。

 開発責任者の森田泰弘教授(55)は「30億円を切れば、同じ性能のロケットでは世界の標準より安くなり、本領を発揮する」と自信を示す。
 しかし世界の価格競争は厳しい。インドの中型機「PSLV」は約25億円で、既に20機以上の成功実績を持つ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を転用したロシアの中型機「ドニエプル」は、品質の経年劣化を指摘されながらも、イプシロンの2倍以上の能力で約12億円と破格だ。
 宇宙関係者からは「イプシロンは10億円以下でないと市場で通用しない」との冷ややかな声も聞かれる。
 JAXAの的川泰宣名誉教授(71)は「市場を開拓するには価格だけでなく、日本人の特性を生かした(顧客への)細かい心配りが有効ではないか。衛星利用の裾野が広がるようなマーケティングの工夫を」と提言する。

 商業衛星の受注獲得で最も重要なのは信頼性の確立だ。ロケットは約20回の打ち上げで95%の成功率を達成して初めて、国際的な評価の対象になる。イプシロンも地道に成功を重ねるしかないが、2号機の打ち上げは再来年。その後の計画は白紙で、海外勢との差を縮めるのは容易ではない。
 新型ロケットは、最初の数回の打ち上げは失敗が目立つ。開発段階で不具合を見落としているケースがあるためだ。商業打ち上げで世界に君臨する欧州の「アリアン5」も、1996年の初号機は飛行制御用ソフトの不具合で爆発した。
 イプシロンについて関係者は「H2AやM5で実績のある既存技術を活用しており、当初から信頼性は高い」と口をそろえるが、油断はできない。

 機体を製造したIHIエアロスペース(東京)の関野展弘(のぶひろ)ロケット技術室主幹(48)は「不具合を持ったまま出荷することは絶対に許されない。打ち上げの瞬間まで、本当に大丈夫かと自問し続けている」と気を引き締める。
 ギリシャ文字を使った名称は、日本の固体燃料ロケットの伝統だ。鹿児島県肝付(きもつき)町の内之浦宇宙空間観測所で公開された機体には、伝統のカラーである赤い色も描かれている。
 観測所の敷地内には昨年11月、「ロケット開発の父」と呼ばれる糸川英夫博士の銅像が生誕100年を記念して建てられた。イプシロンで固体燃料ロケットは名実ともに復活できるのか。博士の視線は機体の行方を見届けるかのように、はるか太平洋を望んでいる。(草下健夫)



 世界の価格競争は厳しく、インドの中型機「PSLV」は約25億円で、既に20機以上の成功実績があり、ロシアは「イプシロン」の2倍以上の能力で約12億円と破格の安さです。これに対して、「イプシロン」は、30億円を切るのが目標。
 未だ実績のない新型の「イプシロン」は、10億円を切らないと競争に勝てないとの声があるのだそうですが、価格だけでなく、日本人の特性を生かした細かい心配りやマーケティングの工夫で市場開拓したいと、JAXAの的川泰宣名誉教授は述べておられるそうです。
 商業衛星の評価は、20回以上打ち上げて、95%以上の成功率があって初めて対象とされるとのことですが、2号機の打ち上げは再来年の予定という「イプシロン」。
 前途は多難ですが、先ずは27日の打ち上げを成功させて、新たな第一歩を踏み出していけることを願います。
 
 諸外国では、軍事用ロケットの需要で、技術開発もさることながら、産業基盤が安定しています。
 防衛省が、尖閣諸島など東シナ海方面での安全保障の抑止力として、短距離弾道ミサイルの開発検討を開始し、「防衛計画大綱」に盛り込む予定との報道がありました。
 レベルが異なり、直接の関係はありませんが、関連産業が育つことで、コストダウンは可能となります。
 防衛省、短距離弾道ミサイル開発検討 沖縄配備で尖閣防衛 - 政治・社会 - ZAKZAK
 
 原発の売り込みもさることながら、宇宙の平和利用のロケット商戦参戦への国家規模での支援と産業の育成が望まれます。



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by yuji_oga | 2013-08-26 00:57 | 気になる話 | Trackback
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