英国では、1990年比で電力価格が 2倍に、ガスの価格が 3倍に値上がりし、「Fuel Poverty(燃料貧乏)」と呼ばれる、貧困層の拡大といった社会問題が発生しているのだそうです。
電力やガス価格が急上昇してきた最大の理由は、2004年以降、英国領内の北海から産出される天然ガスが減少しエネルギー源を輸入に頼らざるを得なくなってきたこと。 約1割もの世帯が「燃料貧乏」に苦しんでいて、更に増える傾向があるのだと。 「燃料貧乏」で年が越せない?:日経ビジネスオンライン 先月、「なぜ、英国の電力価格は10年で2倍に上昇したのか」という記事で、英国で急激に電力価格が上昇している背景を分析した。主な原因は、市場は自由化されているにもかかわらず、「ビッグ・シックス」と呼ばれる大手電力会社6社による寡占が続いている状況にあった。だが、その電力価格よりも、上昇カーブが激しいエネルギーがある。ガスである。 1990年を100とすると、電力価格の上昇率が2倍強であるのに対し、ガス価格の上昇率は3倍を超えている。 ガス価格が急上昇してきた原因は、基本的には電力価格の上昇と同じだ。最大の理由は、2004年以降、英国領内の北海から産出される天然ガスが減少し、その代わりに輸入に頼らなければならなくなったからだ。最近のデータからも、英国領から産出されるガスは減少する一方、輸入が増えている状況が読み取れる。 <中略> このガス価格の上昇が、英国では新たな社会問題を生み出している。「Fuel Poverty(燃料貧乏)」と呼ばれる、貧困層の拡大だ。暖をとるためのエネルギーコストを賄うだけの十分な所得がなく、「食べるか、部屋を暖めるか」という選択を強いられている世帯だ。政府の定義によると、(1)支払わなければならない燃料コストが英国平均を上回り、(2)燃料コストを支払った後の残余所得が貧困ラインを下回る、という世帯を指す。 全世帯の約1割が「燃料貧乏」に 英国では、ガスを使ったセントラルヒーティングがどの家庭でも一般的だが、一部では電力を使った暖房機器も使われている。燃料コストには、ガスと電力の双方が含まれる。 <中略> 英政府によると、燃料貧乏に陥っている世帯の数は、2011年に239万世帯。現在の英国の世帯数は全体で2430万世帯だから、実に約1割もの世帯が「燃料貧乏」に苦しんでいる計算になる。英国の慈善団体「ターン・トゥ・アス(Turn2Us)」によると、現在、その数はさらに増えて350万世帯にもなるという。政府の最新統計はまだ発表されていないが、エネルギー価格の上昇の“大波”は、1980年代末、2005~2006年、そして2011~2012年に襲っており、燃料貧乏はこの1~2年の間にさらに深刻な状況になっていることが予想される。 昨年の冬は寒さで3万人以上が死亡 燃料貧乏は、特に高齢者にとって深刻な結果を招いている。英統計局は、イングランドとウェールズでは昨年の冬、深刻な寒さによって3万1100人が死亡したと推定している。前年より29%の増加である。死亡者の82%が75歳以上の高齢者だった。寒さそれ自体は直接的な死因ではないが、長時間、低温に晒されることで免疫機能が低下するほか、高血圧や血液濃縮、血栓などを引き起こしていると指摘している。 なぜ、英国では、寒さが原因で死亡者が増えるような事態にまで、燃料貧乏が社会問題となっているのか。英国は、欧州の中でも冬の寒さはマイルドな方だ。一方、英国よりも寒さが厳しい北欧諸国やドイツでは、寒さを原因とする死亡者の割合は英国ほど多くない。 英国で寒さによる死亡者が増えている原因として考えられるのは、同国では通常、寒さがそれほど厳しくないために、人々の寒さへの備えが不十分なこと。そして、住居の断熱性能が悪いことだ。また、家全体を暖めるセントラルヒーティングが一般的なため、日本の炬燵のように効率よく局所的に体を温めるような文化もない。つまり、英国特有の事情が燃料貧乏による死亡者増の原因として大きいようにも思える。 そのため、今後、日本でエネルギー価格が上昇していっても、英国と同じように燃料貧乏の社会問題が即座に発生するとは言い切れない。ただし、日本には英国にはないリスクもある。夏の猛暑だ。英国では基本的に、夏の間はエアコンを入れる必要はないが、しばしば猛暑に見舞われる日本ではエアコンは欠かせない。「日本版の燃料貧乏」が社会問題にならないためにも、英国を反面教師として、電力源や石油・ガスの調達先を多様化するほか、住環境のエネルギー効率をさらに高めるなど、エネルギーコストの上昇を抑える万全の策を講じておくことが必要だろう。 電力自由化はなされても、6社の寡占が続いているため、価格競争が機能せず、価格は高止まりしている。なにだか、思い当たってどきっとする話ですね。日本では、自由化さえすれば競争原理がはたらき電力価格は下がるという神話がはびこっています。 高品質(電圧の安定や瞬間停電がない)と、安定供給がなされるかについてもあまり議論が尽くされている様には思えません。 時流の風に吹かされて、電力の自由化が大勢ですが、自由ということは、値上げも自由になるし、供給責任も今よりは緩むことも自由になるのです。サプライヤーは利益優先で自由な事業運営をし、株主の利益を最優先に考えることになります。 日本には生活保護制度がありますが、電機、ガス、水道を止められて餓死するニュースが散見されます。 原発の縮小を期間の差こそあれ目指している日本でも、エネルギー源を輸入に頼るしかないわけで、燃料貧乏は、他人事ではありません。 英国は国産の北海でのエネルギー源があったものが、輸入に代わることで高騰を招いていますが、日本は原発を停止することで、輸入が増えたり、太陽光などの高コストエネルギー(安定していて低コストの地熱や海洋エネルギーは買い取り価格も安く何故か冷遇)を増やそうとしています。 記事で指摘されている様に、「日本版の燃料貧乏」を予防するための検討が必要です。 ただやみくもに原発即時停止を叫ぶことは、「日本版の燃料貧乏」を推進することになりかねません。 この花の名前は、ヒオウギ ↓よろしかったら、お願いします。
by yuji_oga
| 2013-12-30 00:20
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