中国の経済規模が年内に米国を抜いて「世界最大」になる

 中国の経済規模が年内に米国を抜いて「世界最大」になるとの見通しを世界銀行が公表したのだそうですね。
 米中逆転の時期はこれまで、国際通貨基金(IMF)などが19年前後と見込んでいたはずですが、現地で実際にサービスも含むモノを「買う力」に重点を置いた購買力平価(PPP)と呼ばれる手法を用いた世界銀行の計算では米中は今年、逆転することになるのだそうです。




 
経済規模「年内にも米中逆転」 (5/11 産経【日曜経済講座】上海支局長・河崎真澄 )

■世銀報告書に中国なぜか反発
 
中国の経済規模が年内に米国を抜いて「世界最大」になるとの見通しを世界銀行が公表し、論議を呼んでいる。
 中国は2010年、米ドル換算の名目国内総生産(GDP)が日本を上回って世界第2位の経済大国にのし上がったばかり。米国を追い上げていることは事実だが、米中逆転の時期はこれまで、国際通貨基金(IMF)などが19年前後と見込んでいたはずだ。
 国や地域別の経済規模は
名目GDPを米ドル換算するのが一般的。だが世銀は、現地で実際にサービスも含むモノを「買う力」に重点を置いた購買力平価(PPP)と呼ばれる手法で比較を試みた。

 世銀の報告書によると、11年に米国のGDPは約15兆5330億ドル(現在のレートで約1584兆円)だった。一方で、当時の為替レートでドル換算した中国のGDPは7兆3210億ドルだが、PPP換算では13兆4950億ドルに膨らんで、米中差はおよそ2兆ドルにまで縮まっていた。
 IMFの予測では、11年から14年までの成長率は中国の24%に対し、米国は7・6%で、
PPPで換算すれば米中は今年、逆転するという。
 PPPは市場の需要と供給で決まる為替レートとは異なり、生活実感により近い。
 PPPを単純化した考え方の一つに「ビッグマックレート」がある。米ハンバーガーチェーンのマクドナルドがほぼ均一の品質で、世界各地で販売している「ビッグマック」の現地での販売価格をドル建てで比較する手法だ。
 英経済誌エコノミストの今年1月の調査では、中国本土のビッグマック販売価格は為替レートで比較すると、米国よりも約40%安いという。
 ビッグマックに限らず、物価は人件費や材料費など複雑な要因がからみあい、相対的にコストの低い新興国では安価になる。
 ただ、人民元の為替レートは、中国当局によって意図的に安く抑えられているとの指摘がある。仮に
ビッグマックレートを単純適用すれば、中国のGDPは40%前後も膨張する計算になる
 世銀の報告書は、11年の
世界全体のGDPを100として国別の規模をPPPで計算した。米国17・1%に対し中国が14・9%。これに続きインドが6・4%で3位となった。日本は4・8%で4位に後退している。ドイツ、ロシア、ブラジル、フランス、英国、インドネシアが続く。上位10カ国のうち5カ国までが新興国という結果だった。

 一方、当の中国は「世界最大」との評価を喜ばないどころか、
新華社電は「中国が世界最大の経済体になるって? (そんな話は)真に受けるな」と切り捨ててみせた
 中国が高い経済成長を続けていることは確かだとしながらも、1人当たりGDPは11年に米国が世界12位の4万9782ドルだったのに対し、PPPで換算したとしても中国は99位の1万57ドルにとどまると新華社電は反発している。
 IMFによると13年の為替レートで1人当たりGDPは中国の6747ドルに対し米国は5万3101ドル。日本は3万8491ドルと依然としてケタ違い。13億人を超える中国には埋めがたい差と映る。
 加えて新華社電は、世界の工場にはなったが、サービス業や技術開発力の水準、エネルギー問題や環境破壊など解決すべき問題は山積だ、といつになく“謙虚”な論調をみせた。「中国は今後も経済発展の“質”にこそ注意を払わねばならない」などと国内向けに自重を求めた格好だ。
 ただ、
中国が1人当たりGDPを引き合いに出し、経済規模への評価を“矮小(わいしょう)化”してみせる論調は、今回が初めてではない。07年にドイツを追い抜いて世界3位に躍り出たことが判明した際や、10年に日中GDP逆転が起きた際にも繰り返された反論だ。
 上海の有識者は、「経済規模を誇れば国際社会から二酸化炭素(CO2)排出削減など、
先進国並みの環境規制で圧力をかけられると中国政府は懸念している」と話す。
 他方、中国政府は、
有頂天になると国内の低所得者や貧困層の不満に火を付ける恐れがある、と警戒しているフシがある。公式統計では、1に近づくほど所得の格差が大きく、0・4が警戒ラインとされる「ジニ係数」は、13年に0・473だった。だが専門家の間からは、いつ暴動が起きてもおかしくないレベルの0・501に11年に達していたとの厳しい指摘がある。

 PPPにせよ一般的な為替レート比較にせよ、米中GDP逆転は、中国が崩壊しない限り時間の問題だ。だが国家や国有企業、中国共産党や政府の幹部だけが豊かになる問題はなお、闇の中にある。



 新華社≒中国政府が否定しているところが面白いですね。
 「世界の工場にはなったが、サービス業や技術開発力の水準、エネルギー問題や環境破壊など解決すべき問題は山積」と謙虚な姿勢は、違う国かとまごうほど直です。

 「PPPは市場の需要と供給で決まる為替レートとは異なり、"生活実感"により近い。」とのことですが、2011年でも、中国が2位の他、インドが3位、ロシアが6位、ブラジルが7位、インドネシアが10位と、上位10ヵ国中5ヵ国が新興国となっていて、違和感がぬぐえないのは、夫々の国で生活したことがない私の誤解なのでしょうか。
 
 中国が一人当たりGDPで反論していますが、"生活実感"の比較と、一人当たりGDPでの比較にも違和感はあります。"生活実感"は、国内の問題であり、GDPの国家間比較や、一人当たりGDPの国家間比較はグローバルな問題でしょう。
 ブータンの「国民総幸福量」と、PPPの"生活実感"とは近いものの様に見えてきます。また、名目GDPを米ドル換算したものと、PPPの場合の差に感じる違和感は、記事が指摘する「ジニ係数」≒貧富の格差で富が一部の富裕層に集中していることに起因するのでしょうか。
 
 中国が否定するのは、世界で1位と言われても、多くの国民が世界で一番裕福と実感できないことが解っているからですね。それは、2位と言われている今でも、一般の国民が2位の実感が湧くどころか不満が募っている現実に人々が気づきはじめているからでもあるでしょう。

 ただ、どちらで計算しようと、中国のGDPの成長率が低くなったとはいえ、先進諸国とは比べ物にならない高さを維持しているのは確かですね。
 問題は、その富の分配が適正に行われているかどうかです。一部に極度に集中すれば、社会に循環しなくなり、格差が広がると同時に不満が蓄積されます。
 共産党一党独裁政治で、憲法より党が上位にある場合、不満は溜まりやすくなり、いつか破裂します。
 富を、軍事費や治安維持費につぎ込むのではなく、環境整備や福祉につぎ込むことが国家の将来に対し必要です。
 さもなければ、現在の成長を継続できなくなるということです。



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 この花の名前は、アケボノソウ   撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月 撮影)


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by yuji_oga | 2014-05-12 01:12 | 気になる話 | Trackback
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