トヨタ 技術の進化は人の技能が決める 「ものづくり」のカギを握る職人技の伝承に注力

 製造現場の自動化が進む現在でも、製造機械の技術の進化は、人の技能がもととなり左右する。そう考えるトヨタは、団塊の世代の大量退職が始まり大量の技能職がいなくなることからも、技能職出身の役員を誕生させ、職人技の伝承と、技能職の採用増と技能の伝承に注力するのだそうです。
 技術の日本の製造業の伝承です。




 
トヨタ、匠の技伝承に力 技能職採用増やし育てます (4/5 産経)

 トヨタ自動車が「ものづくり」のカギを握る職人技の伝承に力を入れている。工場での製造作業に従事する技能職の採用を増やし、ベテランによる育成も強化する。熟練技能職の大量退職が続くなか、技術伝承を途切れさせない狙いがある。日本最大の製造業であるトヨタの取り組みは、産業界に影響を与えそうだ。(松岡朋枝)

◆熟練退職に備え
 愛知県田原市のトヨタ田原工場。ロボットの先端についた棒状の加工部が鉄板をしごき、くぼみを作っていく。加工具合に合わせて角度や力加減を微妙に変化させる
ロボットの動きは、「匠(たくみ)」と呼ばれる熟練技能者の動きをデジタル解析し、プログラミングすることで実現した。
 「(人の)技能は(機械などの)技術を進化させる重要な部分。そのためにも人の技能をどんどん高めなければならない」(トヨタ幹部)。完成したパーツはレクサスのスポーツクーペ「RCF」に搭載されている。
自動化が進む現在でも「人の技」が製造現場を支えることに変わりはない。

 トヨタは平成27年度、技能職の採用を26年度実績の804人から1300人に増やす計画だ。上田達郎常務役員(労務担当)は27年度の採用計画について「(職場の最小単位の)組には4年に1度くらい新入社員が入っていたが、2年に1人は新入社員が入るようにする」と説明する。
 トヨタは
26年度だけでも約1千人の技能職が定年退職した。後継となる技能者の育成は待ったなしの状況だ。グループ各社でも、豊田自動織機が27年度の技能職採用を前年度から38人増やし、デンソーも17人増やす計画だ。

◆あえて手作業に
 トヨタではさらに、
技能職トップとして高技能者育成に携わってきた河合満氏(67)が4月、技能職出身として初の専務役員に就任。23年からは溶接作業の一部をあえて手作業に置き換え、昨年12月に発売した燃料電池車「ミライ」の製造ラインでは、レクサスのスポーツカー製造などに携わったベテランと若手が一緒に作業にあたっている。

 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が24年に製造業を対象に実施した調査では、回答企業の約4割が「技能伝承がうまくいっていない」と回答し、技能者の育成はトヨタに限った問題ではない。
 製造業が生産拠点を海外に移す際にも「マザー工場」として、国内技能の熟練は欠かせない。
高品質の日本製品を支えてきた製造現場の力を守ることが、企業の競争力そのものを左右する。

トヨタ 技能職出身で初の役員就任・河合満氏 52年間の蓄積を伝えたい

 4月に就任した河合満専務役員が産経新聞などのインタビューに応じた。
--技能職出身として初めて役員に就任した

 「
生産現場が生産性の向上やコスト削減に努力している象徴として、この立場に就かせていただいた。入社したころは2つの工場しかなく、何度も『会社がつぶれるかもしれない』と思った。リーマン・ショックの時にも苦労を経験した。52年間の蓄積を伝えることも私の役目だ」

--リーマン・ショックの苦労とは

 「平成14年ごろから19年ごろまで生産台数が急増した。海外拠点の拡大が急すぎた。日本の
技能者や開発員が海外拠点に指導に出向いた結果、国内では“知恵のない自動化”が進んだ
 「機能を満載した機械をたくさん並べて、量産に対応したがリーマン・ショックで生産が落ち込むと設備があふれた。そこで、多機能な機械でも用途が一つしかなければ、単機能の機械に置き換え、生産ラインをスリム化した」

--技能伝承が課題だ

 「手作業の勘とコツで作業を進めた私たちは、工程が頭に入っている。
現在は機械のボタンを押せば製品が出てくるが、不良品が出てもどの工程に問題があるのか分からない。一部で自動化をやめて、手作業に切り替えている。製造工程の原理原則が分かる人間の育成が狙いだ。海外では工程の多くを手作業に頼らざるを得ないところもある。海外に指導に出向く日本人が技能で劣っては困る

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【プロフィル】河合満
 かわい・みつる トヨタ工業学園高等部卒。昭和41年、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。鍛造部でセルシオやカローラなど幅広い車種の製造に携わる。本社工場鍛造部長、本社工場副工場長などを経て平成25年1月に技能職トップの技監。27年4月から現職。


 自動化を進めるといっても、自動化の技術は、人の技能を基に設定されるのだから、技術の進化には人の技能の進化が不可欠。
 
 かつて手作業の時代には、工程が頭に入っていたが、機械のボタンを押せば製品が出てくる現在は、不良品が出てもどの工程に問題があるのか分からない。
 そこで、一部で自動化をやめて、手作業に切り替えているのだそうです。
 安価な労働力で価格競争力を維持する為、海外生産に生産シフトをすると同時に、国内では自動化することで人件費のコストダウンを計ってきていましたが、技能の伝承の危機に直面したのですね。
 自動化が進んでいない、海外工場のほうが技能の伝承がなされ、国内のマザー工場との技能のレベルの逆転が起きかねない。
 そして、技能の伝承と向上がなければ、製造技術も進化せず、日本の製造業の技術が進化しない。
 
 コストダウンの為に自動化したのですが、一部は自動化を手作業に戻すのだそうです。
 団塊世代の大量退職もあって、採用を増やして、ベテランと若者を混在させ技能の伝承を進める。

 民主党政権時代に進んだ、「製造業の六重苦(超円高、高い法人税、自由貿易の遅れ、原発停止に伴う電力価格高騰、労働規制、環境対策)」が、安倍内閣になって緩和されつつあることから、人手を増やすことが可能になっていることも追い風と言えるのでしょう。

 日本の製造業のスタイルは、トヨタ(看板方式)とキャノン(ラインからセル生産への転換)のモデルがリードしてきました。
 新たなトヨタの動きが、新たに日本の製造業のモデルとなるのか、注目されますね。


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                   この花の名前は、福寿草

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by yuji_oga | 2015-04-06 01:45 | 企業改革 | Trackback
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