同一労働・同一賃金は、日本で導入できるのか

 アベノミクスの第3の矢が、経済の構造改革により活力を生み出すべき政策でなければなら野ですが、薬のネット販売や、カジノの誘致といった、思いつきで、経済基盤にまでは影響を及ぼさないものを目玉に謳う、パフォーマンスが続き、アベノミクスそのものの行きづまり感を呈してしまっています。
 TPPの導入に伴い、少子高齢化し人口減が止まらない日本市場を、参加国と繋ぎ、パイを拡大することこそが、日本の経済構造改革の契機となり、各分野で戦略を練る(製造業の国内回帰、農水産物のブランド化による輸出等々)ことが肝要なのですが、安倍内閣は、アベノミクスの第2ステージとして「一億総活躍社会」なる意味不明(具体策不明)のスローガンを打ち出しています。第3の矢の行きづまりを打開しようと努力していることはうかがえますが、内容は走りながら考えるというものですね。
 そして、その具体的な施策の柱のひとつにしたいということで、安倍首相が、2月23日に開いた「一億総活躍国民会議」で自ら指示したのが、「同一労働。同一賃金」の健闘指示。
 共産党社会のソ連経済が何故破綻したのか、中国の国有企業が、何故今改革が求められているのか、日本経済はお上が統制する共産主義経済でもなく、他方、欧米の様に能力主義が浸透した構造の経済でもないなかで、世界の両陣営が「セイムワーク・セイムペイ」を標準としているからと言うだけで日本に導入してそぐわしいものか、また掛け声だけの迷走に終わらない様、検討が「否定」の答申も含めて、地に足をつけて行われることが望まれます。





 「同一労働同一賃金」は、非正規の水準に寄る?:日経ビジネスオンライン
 
同一労働・賃金 首相はなぜ言い出したか (2/28 産経 【主張】)

 仕事の内容が同じなら、雇用形態を問わずに同じ賃金を支払う。こうした「同一労働同一賃金」について、安倍晋三首相が実現に意欲を示しているが、具体像がよくみえない。
 制度が定着している欧州では、正規、非正規を問わずに働く人の仕事内容は明確に定められている。これに対し、日本の場合の職務範囲は曖昧で幅広い。
 
何をもって「同一労働」と評価するのかという基準は難しい。制度導入は決して簡単ではない。
 非正規と正規の待遇格差の是正は大きな課題である。雇用慣行などを踏まえて労使で協議を尽くし、現実的な制度設計に取り組む必要があろう
 
安倍首相は1億総活躍国民会議で、同一労働同一賃金の実現に向け、検討会を設けたうえで欧州を参考に法改正のあり方を協議するよう指示した。労働契約法などを改正し、不合理な賃金格差の禁止を検討する見通しだ。
 また、法改正に先立ち、どのような賃金格差なら容認されるかについての指針もまとめる。学歴や資格の有無などを考慮した事例として示すという。
 パートや派遣などの非正規社員として働く人は、全体の約4割に達している。その賃金水準は正社員の6割程度にとどまる。
個人消費の活性化のためにも、非正規の待遇改善は待ったなしだ。
 
ただ、日本では大手企業を中心として仕事内容に関係なく、勤続年数によって給与を引き上げる年功型賃金が残っている。こうした雇用慣行は、同一労働同一賃金とは相いれない仕組みといえる。
 産業界には人件費の増加を懸念する声も根強い。企業の賃金原資が限られる中で、正社員の給与などを変えずに非正規の待遇を改善すれば、企業収益の圧迫要因となる恐れもあるからだ。
 
賃金水準は、企業の事情に応じて労使で決めるのが原則である。非正規の業務を熟練度に応じて評価する制度を取り入れるなど、仕事に取り組む意欲を高めるような工夫も必要だろう。
 同一労働同一賃金に対し、自民党はこれまで慎重だった。一転して
前向きになった理由は判然としないが、これは働く人全体に影響する大きな改革だ。参院選向けのパフォーマンスで良い顔をするのではなく、丁寧な議論と着実な対策の積み重ねが欠かせない。


 非正規と正規の待遇格差の是正は大きな課題であり、不当に非正規の賃金がひきさげられることは、日本の個人消費市場を貧しくするもので、避けられねばならないことは言うまでもない事です。
 しかし、民主党政権時代に日本経済を沈没させかけた、「製造業の六重苦 ((1)円高 (2)高い法人税 (3)自由貿易協定の遅れ (4)厳しい労働規制 (5)温室効果ガスの排出抑制 (6)震災とそれに伴う電力不足)」が、安倍政権の誕生で、ほとんどが解消されつつある中で、「厳しい労働規制」が強化される方向に逆行することがあってはなりません。

 日本経済の発展の原動力は、終身雇用による安定した労働環境で、長期戦略を視野に、誤解を恐れずに一言で言うと、会社への貢献=自身のやりがいと言ったものにささえらていました。
 年功序列=お役所仕事の弊害はないとは言えませんが、昇給・昇格には差がつけられ、総じて会社やひいては日本経済の成長を、安定した労働環境の中で産んでいました。
 その弊害を生むために、能力主義の評価度合いが強められ、改善もされてきています。
 正社員の中でも、海外を含む転勤を厭わない職階と、転勤をしなくていい職階を設けるなどの層別も多くの起業で導入がすすんでいるはずですし、他方、働く側でも拘束を嫌い、自由契約(能力に応じ転職で高収入を追求したり、時間・期間を自由に選択して働く生活スタイル追及)を自ら選択できるようにもなってします。
 それに、「同一労働」とは何を指すのかも難しい。
 生産の現場でも、サービスの現場でも、新人とベテランでは、当然生産性に差があり、その生産性に応じた報酬があってこそ、労働意欲が湧くのであり、その差が無ければ、お役所しごとになったり、共産主義国(社会主義国)の国営企業の様に、働いても、果たらなくても報酬が同じなら、労働意欲は減衰しますね。
 記事で指摘している「賃金水準は、企業の事情に応じて労使で決めるのが原則」が、自由主義経済の活力の基です。
 不当な差別をなくすための立法や政策実現。市場の拡大で雇用の拡大を図る構造改革推進の政策構築と実現。それが政府の重要で求められていることです。
木を見ず、森を観る政策に注力いただくことを、安倍政権に期待しています。


 
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 この花の名前は、シラヤマギク


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by yuji_oga | 2016-02-29 02:18 | 人口減少 | Trackback
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