日銀のマイナス金利導入の是非

 日本銀行がマイナス金利政策を導入してから3ヶ月がたちました。
 マイナス金利導入に機を併せた様に、円高が進み株価も低迷し、銀行の貸し出しも顕著な増加は見られないと、マイナス金利導入失敗論が姦しくなっている様です。
 日銀の金融政策は手詰まりとなったことが明らかになったとの声も増えていますね。
 一方、黒田総裁は、マイナス金利政策はまだ奥があると、手詰まり論を否定しておられます。
 はたして日銀のマイナス金利導入は間違いだ、日本の金融政策は手詰まりだと、今の時点で断じてよいのでしょうか。




 
マイナス金利3か月 金融政策頼み、限界も (5/15 読売朝刊)

 日本銀行が2月16日にマイナス金利政策を導入してから3か月がたつ。
 金融市場の混乱を鎮め、景気をテコ入れしようとする狙いがあるが、はっきりとした効果はまだ見えない。世界経済の不透明感は強まっており、
金融政策頼みの対応には限界が見えつつある
 日銀の黒田東彦はるひこ総裁は13日の講演で、「金融政策は機動的に行うことが持ち味だ。効果がはっきりするまで待つということでは全くない」と強調した。金融市場では「金融政策が限界に近づきつつある」との見方が出ており、そうした声を打ち消そうとするものだ。
 
マイナス金利政策はこれまでのところ、十分な効果を上げられていない。住宅ローン金利や企業向け貸出金利は低下し、お金を借りやすくなる「環境づくり」は、はっきりと効果が表れた。しかし、実際の貸し出しの伸びは導入前とあまり変わっていない円相場は5円程度、円高・ドル安に向かい、金融市場の動乱が再燃する兆しすらある。
 黒田総裁は2013年の就任後、国債を大量に買い取り、世の中に出回るお金の量を増やす「量的・質的金融緩和」を進めた。円安・株高を演出し、景気回復を後押ししてきた。
 しかし、消費増税に伴う国内消費の低迷に、中国経済の減速や原油安をきっかけとする市場動乱など
海外を主因とする悪材料が重なり、このところは難しいかじ取りを迫られている。
 市場では、早くも次回6月の金融政策決定会合の対応に注目が集まっている。SMBC日興証券の丸山義正氏は「
日銀の打つ手は少ないが、円高がもう一段進めば、日銀は緩和圧力にさらされる」と話す。
 ただ、
金融政策頼みの景気回復は限界に来ているとの指摘もあり、安倍首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で参加国に財政出動を呼びかける方針だ。
 欧州中央銀行(ECB)も金融緩和の限界が取り沙汰されている。ECBは14年6月、マイナス金利の導入を決め、今年3月には市場の予想を上回る大規模な追加緩和の実施を決めた。
 しかし、ドラギ総裁は決定後の記者会見で「さらなる利下げは想定していない」と発言し、市場関係者に「タマを撃ち尽くした」との印象を与えた。
 実際、ECBが追加緩和を行うのは困難な情勢だ。ユーロ圏で大きな発言力を持つ
ドイツのショイブレ財務相は、マイナス金利政策について「理にかなわない政策」などと批判している。
 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月、堅調な景気を背景に利上げに踏み切り、金融政策を「通常モード」に移行させた。しかし、国内景気が減速し、2回目の利上げに踏み切れない状況が続く。サマーズ元財務長官が利上げの判断を批判するなど、利上げへのハードルは低くない。


 読売も世間の安直な政府や日銀非難論に同調するとは、がっかりです。
 記事でも指摘していますが、年初来の株安、今の円高は海外要因に依るところが大きいとは、素人の私でも解る衆知のことです。
 経済のファンダメンタルズが低調だからこその金融政策で、お札を増刷しても、銀行が日銀に預けてその金利で儲けて何もしないのでは、それこそ金融政策は生きません。
 先ず、銀行にお仕事をしなさいよと、お尻を叩いて目を覚まさせたのがマイナス金利。
 アベノミクスの第三の矢が、経済活性化の本丸で、一の矢、二の矢の、金融、財政政策はその前座。
 第三の矢では、薬のネット販売だとか、カジノだとか、経済の基本構造を変革するようなものはなく、効果を発揮するに至っていませんから、当然市中の資金需要は少ない。
 そこへ、マネーサプライだけ増やしても、ファンダメンタルズが上向きでなければ需要が無いのだから意味がない。
 なので、銀行は融資のリスクの無い日銀への預金金利で利益を稼ぐといった悪循環で、経済の活性化に繋がらない。
 繰り返しますが、そんな状況で金融緩和策をいくら施しても効果は薄い(株取引ゲームのネタで株価など金融資産価格が動く効果くらい)ので、銀行にお仕事して市場開拓しなさいとお尻をたたいたのですね。

 日銀の金融政策が手詰まりに見えるのは、そうした銀行がお仕事しないで日銀への預金金利に依存していたからです。
 アベノミクスが行き詰まっているのは、本命の第三の矢で、構造改革を促して効果を上げる政策が導入されていない現状では正しい見方ではありますね。

 では、マイナス金利導入は失敗なのか。
 上述の範囲では、お尻を叩いた銀行が動かない。第三の矢に繋がる資金需要が無いということはあっても、マイナス金利が導入されたから、株安や円高になったとは言えず、失敗だと決めつけることは出来ませんね。

 とは言え、株安・円高は外的要因と言って、なにもしないで良いはずはありません。
 そこで、マイナス金利が奥が深いと言う黒田総裁の言葉が生きてくるのです。
 三橋貴明氏が「デフレ脱却のラストチャンス」と唱えておられます。(例=will 5月号)
 マイナス金利が導入され、早速、10年もの国債の金利がマイナスになっています。つまり、国は長期国債を発行すればするほど、金利が入ってくるのです。
 満期を迎える長期国債も、借り換え分はこれまで金利を払っていたのが、金利が貰えるようになるのです。
 そして、このお金で、財政出動をして需要を喚起し、経済の活性化・アベノミクスの第三の矢の資金源がまかなえるのです。
 手っとり速いのは、老朽化したインフラの改築・補修や、耐震強化の促進。
 三橋氏が提唱するのは、東京一極集中を地方に分散し地方の活性化と安全保証を謀る為の交通インフラ建設。
 国債を発行すれば、国債で基金がまかなえる他に、金利も収入となるのですから、様々な国家事業が推進可能となり、アベノミクス・第三の矢も、いろいろ試せるようになるのです。

 マイナス金利導入は成功なのか、失敗なのか。金融政策は手詰まりなのか。
 銀行、政府(財政出動)、企業が何もしないで動かなければ、どんな政策を打ち出しても失敗になります。
 マイナス金利は、上述のように、官民一体となって動いて活用すれば、三橋氏が言われるように、日本経済のデフレ脱却の救世主となるのです。




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by yuji_oga | 2016-05-16 01:13 | 気になる話 | Trackback
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