「もんじゅ」の廃炉が、高速増殖炉≒核燃料リサイクルの放棄でよいのか

 「もんじゅ」が廃炉の方向で議論が進められています。「核燃料リサイクル」については検討を続けるニュアンスですが、具体的なビジョンは示されていません。現状では、 「もんじゅ」の廃炉=「核燃料リサイクル」開発断念に見えます。
 フランスでは、高速炉・ASTRIDの2030年頃の稼働を目指しているのだそうですが、日本の技術では「核燃料リサイクル」は実現不可能なのでしょうか。
  産経が社説で、廃炉と同時に「核燃料リサイクル」の為の「シンもんじゅ」を具体化せよと唱えています。








 
高速増殖炉 「シンもんじゅ」を目指せ 核燃サイクルは国の生命線だ (9/18 産経 【主張】)

 このままでは、国民からの税金を将来も100億円単位でどぶに捨て続けることになる。
 既に1兆円以上が投入されているにもかかわらず、
稼働できないまま機器の点検漏れなど不手際のみが続く日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)である。
 廃炉を視野に入れた検討が進むのは当然だ。遅きに失したといえる。ただし
廃炉の議論では、もんじゅに代わる新たな高速増殖炉のビジョンが欠かせない
 核燃料サイクルの前進につながるもんじゅの幕引きを、政府全体で検討すべきである。

≪前進のためにも廃炉を≫
 もんじゅの廃炉を促す意見が政府内で強くなっている。
 原子力機構を所管する文部科学省は昨年、
原子力規制委員会からもんじゅの運営を同機構以外の別組織に変更するよう求められていたが、未対応だ。
 このことも廃炉論の高まりの一因になっている。
 もんじゅの存続を疑問視する声は以前からあった。
平成7(1995)年のナトリウム漏れ事故とビデオ隠し以来、信用を失う事故や不手際が相次ぎ、ほとんど運転できていないためである。
 にもかかわらず、約20年間にわたって毎年、100億~200億円を空費しつつ、今日に至っている。
民間企業ならとっくに倒産していたところだそれでも存続し得たのは、もんじゅが高速増殖炉の実用化を目指すための原子炉であるからだ

 エネルギー資源に乏しい日本にとって、
燃やした以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉は「夢の原子炉」とされ、そのための燃料生産に関わる再処理工場などとともに、核燃料サイクルの中核施設に位置づけられている。
 国の長期のエネルギー安全保障に不可欠の存在として、無為徒食のまま温存されてきた。
 もんじゅを開発した旧動力炉・核燃料開発事業団と後身の原子力機構に、
甘えと傲慢の構造があったことは否めない。これを放置した旧科学技術庁と文科省の責任も厳しく問われるべきである。原因の解明を怠れば、同根の失敗の繰り返しにつながろう。

 もんじゅの存続を求める声もあるが、それには規制委の新規制基準をクリアすることが必要だ。大改修にはおそらく数千億円の巨費を要する。ようやく再稼働にこぎつけても運転の40年制限が目の前では意味がない。
 
核燃料サイクルを軌道に乗せるためにも、もんじゅの廃炉は避けられない
 問題は「ポストもんじゅ」をどうするかだ。
もんじゅは不要でも高速増殖炉と核燃料サイクルは必要不可欠である。

≪海外と地元に目配りを≫
 今はウラン価格が安定し、油価も下がっているが、この状態が将来も続くと見るのは早計だ。
核燃料サイクルによるウランの長期利用の実現が賢明な策である。
 
もんじゅより一段高い実証炉レベルの高速増殖炉建設を目指す道がある。それに応える技術者はいないのか。もんじゅが建設された80年代に比べ、素材もシミュレーション技術も隔世の進歩を遂げている。高速増殖炉の真価を発揮する新たな「シンもんじゅ」の開発を期待したい。

 
フランスが2030年ごろの稼働を目指す高速炉・ASTRIDの共同開発も選択肢の一つであろう。ナトリウムを使う高速増殖炉の開発は難しいという批判があるが、それは当たらない。ロシアでは高い稼働率で運転している。

 もんじゅの今後についての議論には、国際的課題としての視点が必要だ。
2年後に日米原子力協定の更新時期が迫っている。非核保有国の日本が、原発の使用済み燃料を再処理し、高速増殖炉などで使うプルトニウムを取り出せるのは、この協定があるためだ。
 
もんじゅの廃止を、核燃料サイクルからの撤退準備と米国が受け止めれば、日本のエネルギー政策の将来は根底から揺らぐ。廃炉だけが前面に出がちな議論は、極めて無防備で稚拙である。

 国内での議論の進め方にも問題が多く、気になるところだ。
 もんじゅの地元の福井県や敦賀市は、蚊帳の外に近い状況に置かれている。建設時点から、多大な協力を惜しまなかった地元の人々を軽視するような対応では、真の原子力文化は育たない。

 エネルギー資源に乏しい日本にとって、燃やした以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉は「夢の原子炉」とされ、巨額の投資が続けてこられました。
 しかし、約20年の年月を経ても、稼働出来ていないのです。まともに稼働していても、更新の時期がくる頃かもしれません。
 廃炉はやむを得ないとして、「もんじゅ」が稼働出来ない原因は、解明されたのでしょうか。
 「もんじゅ」の計画・設計に原因があるのか、施工・建設に原因があったのか、点検・操作の人的ミスや手抜きが原因なのか。報道で知る範囲では、人的要因の様に聞こえてきます。その証が、規制委員会の運営母体の変更指示です。
 しかし、巨額の投資が必要で、電力会社等、運用の引き受けてがないのですね。ただ、「もんじゅ」が稼働できない原因が明らかにされ、人的問題となれば、引き受けても出てくるのではないでしょうか。原発等の厳しい労働環境への対応実績があり、教育が出来ている会社なら、これまで報道されている様な人的ミスは大幅に減ると考えられます。(東電は隠蔽体質の問題がありますが。)

 廃炉と共に、「シンもんじゅ」の検討や、フランスとの共同開発の検討も進めていただきたい。

 更にいえば、エネルギーの基本政策も練り直していただきたい。福島の事故後、盛んに議論されましたが、原発の是非の感情論の高まりがあり、逆に議論は消えているのが現状の様に思います。
 シェールオイル、メタンハイドレードなど、新たなエネルギー源も注目される様になっていますし、ウランの資源の有限性(原油より少ない)も指摘されています。

 変化するエネルギー資源情報に伴って、国のエネルギー政策もその変化に対応が必要です。エネルギー安全保障の継続的議論と対処が必須ですね。


 
 
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by yuji_oga | 2016-09-19 02:22 | 地球温暖化 | Trackback
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