「エース」が不在の日本経済

 2016年の株価は、かろうじて5年連続の上昇で終わりました。明けて2017年。日本経済や、政治(安全保障)などはどのようになっていくのでしょう。
 日経ビジネスが、お正月特集として、人気連載陣や記者に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらったとするいくつかの記事があります。
 いずれも興味深い記事ですが、ここでは、「景気は改善するも、「エース」が不在の日本経済 本格的に景気回復する「大吉」は期待薄」を取り上げさせていただきました。

 人気連載陣が占う「この1年」:日経ビジネスオンライン




 
景気は改善するも、「エース」が不在の日本経済:日経ビジネスオンライン

本格的に景気回復する「大吉」は期待薄 上野 泰也 2017年1月1日(日)

■内閣府、基調判断を「改善」に上方修正
 2016年12月7日に発表された10月の景気動向指数速報値で、一致指数はまとまった幅で2カ月連続の上昇を記録した。判定の条件が満たされたため、内閣府はこの指数の基調判断を「足踏みを示している」から「改善を示している」に引き上げた。判断の上方修正は22カ月ぶりのことであり、
景気のベクトルは足踏み・横ばい状況を脱して、上向きに変わったと言うことができるだろう。

 
今の日本経済の最大の特徴は「エースピッチャーの不在」だと、筆者は位置付けている。相応の力強さを伴って持続的・安定的に経済を成長させる需要項目が見当たらない中で、何人ものピッチャーによる継投策により日本経済はなんとかしのいで、小幅のプラス成長となっている。2016年秋からは電子部品、半導体製造装置、普通乗用車などの輸出が好調に推移して、景気を持ち上げている。

■「トランプラリー」による収益上振れを期待
 また、「トランプラリー」の下で急速に進んだ円安・株高が製造業・加工業種を中心に収益上振れ期待につながっている。12月14日に発表された日銀短観(全国企業短期経済観測調査)12月調査で、企業の景況感は改善した。さらに、4-6月期から半年程度は、2016年度第2次補正予算に計上された公共事業が景気を下支えすると見込まれる。

 
主役不在なれどそこそこの景気回復が続くという意味で、2017年の景気は、大きな分類では「吉」の部類に入るだろう。少なくとも、景気が後退する「凶」や、金融システムが動揺するほどの大幅に景気が落ち込む「大凶」となる可能性は、現状小さい。
 では、どのくらいの大きさで「吉」が見込めるのだろうか。
日本経済の中長期的見通しの抜本的な改善を伴いながら景気が本格的に回復するのを、最も良い運勢である「大吉」と定義すれば、これは期待薄だと言わざるを得ない

 人口減・少子高齢化が進む中で、製造業・非製造業を問わず、実に多くの業種・企業が海外市場に活路を求めている。マーケット規模が今後さらに縮小する可能性が高い日本国内で大規模な設備投資を行ったり、固定費的な性格が濃い賃金引き上げであるベアを大幅につけたりするのは、経営判断として合理的とは言い難い。2017年春闘で決まる主要企業の賃上げ率は、そう大きなものにならないだろう(2016年12月13日配信「『官製春闘』4年目、ベアはどうなるのか?」ご参照)。

■「トランプラリー」は「ミニバブル」的な色彩が濃い
 論者の中には
人口動態からくる経済への縮小圧力を過小評価しつつ、生産性向上による成長力底上げに期待を寄せる人もいる。だが、具体策がない政策提言や未来予測は実務上、ほとんど意味を持たない強力な規制緩和の必要性を強調する向きもあるが、これは短期のタイムスパンではデフレ圧力を強める策である。仮に安倍内閣がにわかに規制緩和の動きを強めるとしても、それが2017年の「吉」の度合いを大きくするわけではあるまい

 また、
足元の上向きの景気動向に寄与している「トランプラリー」は、次期大統領の公約の中から米国の経済成長にプラスとみられる部分だけを「つまみ食い」的に材料にした、「ミニバブル」的な色彩が濃いものだと筆者はみている。その反動がいつ、何をきっかけに、どのくらいのスピードやマグニチュードで訪れるのかは、まだ誰にもわからない。

■米国がドル高を放置すれば、「レーガノミクス」の轍を踏む
 長年にわたりグローバル化が進展してきた世界経済が、保護主義を前面に掲げたトランプ氏が当選したことで一朝一夕に構造を変えるわけではなく、米国の経済・企業業績・物価にとって、ドル高は引き続きネガティブである。
ドル高を放置すれば、「双子の赤字」に苦しんだ「レーガノミクス」の轍を、トランプ次期政権は踏むことになるだろう。為替相場が円高ドル安の方向に遅かれ早かれ揺り戻すとともに、内外で株価が反落すると、日本経済の「吉」の度合いは必然的に薄れることになる。

■欧州の選挙で「反グローバル化」が進展すれば、株安・円高も
 また、2017年はヨーロッパで政治イベントが数多い。3月にオランダ総選挙、4~5月にフランス大統領選挙、秋にドイツ総選挙があるほか、イタリアの総選挙が年前半に前倒し実施される可能性がある。2016年に市場を大きく揺さぶった
「反グローバル化のうねり」がこれらのイベントを通じて再認識される場合には、「リスクオフ」の株安・円高が進むこともあろう

 結局、2017年の景気は「吉」の部類のうち、「吉」「中吉」「小吉」「末吉」のどれになるのだろうか。

■2017年の景気は、真ん中あたりの「中吉」か「小吉」
 上記のようにリスク要因が多いため、先に行けば行くほど景気が不安定になりやすいとみれば、「末吉」(「凶」の一段階上)は除外される。
 一方、「吉」(「大吉」の一段階下)も、1人当たり実質賃金の水準が低くなったままであることや、景気の回復を実感しにくいとアンケートに答える人々の多さなどに鑑みると、当てはまりがよくない。
 このため消去法で、
2017年の景気は「中吉」か「小吉」のどちらかということになるのだろう。

 かろうじて連続上昇した株価や、内閣府の「改善を示している」への「基調判断」の格上げは、「日本経済をけん引する主役があってのことではなく、入れ替わり立ち代りの需要項目、つまり、エース不在の、何人ものピッチャーの継投策でなんとかしのいで、小幅のプラス成長を維持できたとの評価なのですね。
 米国の次期大統領にトランプ氏が選択されると、「トランプ相場」が産まれ、低迷していた株価が上昇しました。しかし、年末には一服感で、上昇トレンドは止まりました。
 年明けの相場は、昨年の様に下落するのか、上昇トレンドに戻るのか。戻ったとして、それは何時まで続くのか。トランプ政権が正式誕生して、政策が公表される1月下旬にはどう動くのかが、当面の注目点ですね。

 記事では、足元の上向きの景気動向に寄与している「トランプラリー」は、「ミニバブル」的な色彩が濃いものだと断定しています。
 似ているとされる「レーガノミクス」の「双子の赤字」の轍をふむ危険性をはらんでいるとも。

 眼を欧州に転じると、今年は主要国の選挙が目白押し。米国同様に、「反グローバル化のうねり」がみられ、その動向にもリスクが懸念されています。
 更に、中国も、チャイナセブンの改選があり、政局争いが激しさを増していて、習近平政権も、経済より政局に注力している状況ですね。

 「2017年の景気は「中吉」か「小吉」のどちらかということになるのだろう」というのが、記事の結論です。
 「凶」や「大凶」になる可能性は低いとのことで、一安心ではあります。
 「大吉」かそれに近い「中吉」にするにはどうすれば良いのか。反グローバル化で内向きになってきている世界の主要各国の動向の中では、ハードルは高いのですが、少子化、人口減の日本。中長期政策として、広く市場を海外に求めて行くことと、人口減の歯止めが急務と考えますが、いかがでしょう。



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by yuji_oga | 2017-01-02 23:57 | 気になる話 | Trackback
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