少子化が一段と進んだ日本 それでも豊かさを維持しようとすれば、労働生産性を向上させるしかない

 昨年の出生数が100万人の大台を割り、少子化が進んでいます。少子化=労働人口減少の影響は、その産まれた子供たちが、大人になった時に深刻に表れるのですね。
 労働人口減は、豊かな経済成長を損なうとともに、高齢者を支えるなどの社会保障にも影響を及ぼすことは、言うまでもないことです。
 それでも豊かさを維持しようとすれば、労働生産性を向上させるしかないと説くのは、産経・論説委員の河合雅司氏。

 



 
少子高齢時代 人材投資 論説委員・河合雅司  (6/18 産経 【日曜講座】)

■国家戦略をもって育成せよ
◆生産性向上で豊かさを


 
昨年の出生数が100万人の大台を割り、少子化は一段と進んだ感がある。
 だが、その
影響が「深刻さ」として明確に認識されるのは、彼らが大人となる20年ほど先だろう。労働力人口の減少である。出生数は減り続けており、労働力不足は避けられない
 労働力が不足すれば生産力や消費は落ち込む。
それでも豊かさを維持しようとすれば、労働生産性を向上させるしかない。個々が生み出す製品やサービスの価値を高めることでカバーするのだ。
 生産性を向上させるには、個々のスキルを磨かなければならない。とはいえ、個人での取り組みは簡単ではない。
そこで政府が掲げるのが「人材投資」だ。

 「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)で重点項目として打ち出した。成長分野に対応し得る能力を身につけさせ、活躍できるようにしようということだ。
 これまで政府は雇用保険など所得保障に力点を置いてきたが、
給付型の社会保障から能力開発型へとシフトさせていくということでもある。
 能力開発によって新たな技能を身につけ、成長産業に移ることが当たり前の社会となれば、労働力不足の改善だけでなく、社会保障制度の安定にも資する。

◆ターゲットを絞り込め
 だが、やみくもに投資を行っても生産性の向上には結びつかない。
どういう人材を輩出していくのか。国家としての戦略をもって育成計画を練る必要がある。

 残念ながら、
骨太方針はこの点があいまいだ。人材投資というより、親への経済支援の側面が強い幼児教育・保育の無償化や待機児童の解消を「第一歩」としている。高等教育を含め、社会全体で人材投資を抜本強化するというのも散漫な印象だ。
 財源には限りがある。まずはターゲットの絞り込みが重要となる。
労働力不足が顕在化していることを考えれば、既に働いている人たちの能力開発から取り組みたい
 求められるのは
新たな成長分野で戦力となる優秀な人材の育成である。そのためには、日本として成長の活路をどこに定めるかだ。

 これまでは、高い技術力と低い賃金を背景に「ものづくり」を得意としてきた。だが、途上国も高品質な製品を生産できるようになった。
 若い労働力が減ることを考えれば、いつまでも「大量生産・大量販売」モデルにしがみつくわけにはいかない。
 では、
日本はどのように産業構造の転換を図ればよいのだろうか。着目すべきは人口減少下で活躍が期待される女性と高齢者である。
 
今後の日本において成長するのは、女性や高齢者が能力を発揮しやすい知識産業のような分野となろう。
 必然的に
情報技術(IT)や教育、観光、医療、福祉といった分野に産業構造の転換が図られていくとみられる。
 新たな仕事に必要な技能を学び直す機会を増やすことは、女性の復職・再就職や、中高年の転職や就業を促進することにもつながる。
 かつて北欧諸国も製造業から知識産業への転換によって成長を実現した。人口の激減時代の日本の成長のヒントがここにある。

 もちろん、
製造業が全て否定されるわけではない。高品質やデザインに優れたこだわりの一品を作る「少量生産・少量販売」へとスタイルを変えていくことになるだろう。これも、大きな意味で知識産業といえよう。

◆企業内教育には限界も
 人材投資に当たって、
もう一つ重要なのは誰が教育を行うのかだ。
 これまでの人材育成の主体は企業であったが、
各企業の「色」に染める企業内教育は、社会が流動化していく現状にあって限界がある
 こうした点を踏まえると、企業に代わって人材育成の受け皿として
期待されるのは大学や公的研究機関だ。2019年には質の高い職業人を育てる「専門職大学」が誕生する。自治体などが中心となり、再教育の仕組みを構築していくことである。

 産業構造の転換には、労働市場の弾力性が不可欠だ。
成長産業が転職者を積極的に採用するといった環境が整わない限り、「人材投資」の実効性は上がらない

 
社会の変化に応じて何度も学び直し、ニーズに即した仕事に就けるようにする。こうした好循環をつくることなく、人口激減社会を乗り越えることはできない。

 労働人口の減少対策で、言い続けられているのは、女性と高齢者の労働力の活用。と言いつつ、その先の議論が深まらないのが現状。一方では、AIの発展による労働需要の減少が見込まれ、労働人口需要の減少も唱えられ始めています。少子化での労働人口減と、AIの普及での労働人口需要減が、バランスがとれれば、問題は解決しますが、どうなのでしょう。

 記事では、現状で確実な女性や高齢者の活用を唱えていますが、同時に、女性や労働者が働ける産業への産業構造変化の必要性も求めています。
 女性や高齢者が能力を発揮しやすい知識産業のような分野とは、情報技術(IT)や教育、観光、医療、福祉といった分野だと。

 知識産業に産業構造が変化し、労働需要の内容も変化すれば、女性や高齢種の再参入にも、現役労働者の転職にしても、知識産業のニーズに対応出来る知識・技術が必要となります。
 その教育を担うのは、個々の企業では負担が大きいので、人材育成の受け皿として期待されるのは大学や公的研究機関だと。
 成長産業が転職者や女性・高齢者を積極的に採用するといった環境も必要。

 国民は、社会の変化に応じて何度も学び直し、ニーズに即した仕事に就けるようにすることが求められる。(汗)

 記事では、骨太方針は、人材投資というより、親への経済支援の側面が強い幼児教育・保育の無償化や待機児童の解消を「第一歩」としていると指摘し、財源には限りがある、まずはターゲットの絞り込みが重要と説き、既に働いている人たちの能力開発からの取り組みを推奨しています。

 異論はありませんが、ハードルが高く、どれだけの人々がそのハードルを越えられるのか。能力に応じた、働き口があるのかが、論理の成否を決めることになりますね。

 同時に元られるのが、人材能力向上の為の機会の均等化。昔は貧乏でも、頑張れば一流大学教育を受けることが出来たが、昨今は教育投資が出来ないと、一流大学に入り辛くなっていると言われていますね。なので、奨学金制度の見直しや、大学教育までの無償化が議論されています。そうした人材育成への投資が求め競れています。
 幼児教育・保育の無償化や待機児童の解消の「第一歩」は、教育機会均等化と女性の労働市場への復帰・参加の両立を図るものですが、教育投資としては、その先の小中高、更に大学といったところには手が差し伸べられておらず、中途墓場です。
 記事の唱える、産業構造変化に対応できる高度な教育と、労働人口減に対応する産業構造改革には、ベースとなる現状の「第一歩」の途中で途切れている教育投資の「第二歩」以降の充実が欠かせないと考えます。
 また、「第二歩」以降への投資が勧められることで、教育=人材育成への、貧富による格差をなくし拡がりを可能にすることでも、記事の求める高いハードルまででなくても、一定の人口減対策になると考えます。

 人口=消費需要が国の経済を強め豊かにすることは、中国。米国がGDPを誇り、世界経済に影響力を発揮している現状が証明しています。他方、日本より人口が少ない欧州諸国が健闘しているのも事実ですし、フランスが人口回復をとげている先例もあります。
 少子高齢化と人口減の先頭集団を走っている日本。豊かな日本の継続への研究と、投資が、「深刻な未来」を防ぐために、促進されることを願います。


 

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 この花の名前は、ペラペラヨメナ

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by yuji_oga | 2017-06-19 03:55 | 人口減少 | Trackback
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