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米中貿易協議 共同声明の発表は異例の1日遅れ

 米中両国は19日、ワシントンで17~18日に開いた貿易協議の共同声明を発表して「米国の対中貿易赤字を減らすため、中国が米国のモノとサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した」と表明しました。
 共同声明の発表は協議終了から異例の1日遅れとなったことが示す通り、「中国が米国のモノとサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した」と表明したものの、米国が検討する対中制裁の撤回には触れておらず、両国は具体策を取りまとめるため、米国が中国に代表団を派遣して再協議することとなり、世界経済には引き続き米中両国の「貿易戦争」の懸念が残っている状況です。




 中国、米製品の購入拡大 両国合意 1日遅れで声明 :日本経済新聞
 
貿易戦争の回避へ米中双方が自制せよ :日本経済新聞 社説

 米中両国が17~18日、貿易不均衡の是正に向けた2回目の協議をワシントンで開いた。中国が天然資源や農産物の輸入拡大などを米国に約束したものの、最終的な合意には至らなかった
 世界の二大経済大国による貿易戦争を、何としてでも回避しなければならない。
米中両国は制裁や報復を控え、対話を通じて摩擦緩和の道を探るべきだ

 米国は貿易不均衡の拡大にいら立ち、より強硬な対中戦略に傾きつつある。鉄鋼やアルミニウムの輸入制限を中国にも発動し、中国の知的財産権侵害に照準を合わせた制裁の詰めも急ぐ。
 これに対して中国が報復に動き、米国との緊張が高まった。
国際的な通商ルールを無視する米国の罪が重いのは確かだが、やられたらやり返すと言わんばかりの中国の対応にも問題がある

 米中両国が3~4日に北京で開いた1回目の協議は、双方の要求をぶつけ合うだけで終わった。今回は中国が天然ガスや大豆、半導体の輸入拡大などを提示しており、わずかでも歩み寄りの兆しがみられるのは歓迎したい。
 しかし根本的な利害の対立が解けたわけではない。米国がモノの対中貿易赤字(年間3750億ドル)を2020年までに2000億ドル削減するよう求めたのに対し、中国は明確な数値目標の受け入れを拒否したもようだ。
 米国は中国が巨額の補助金でハイテク産業を育成する「中国製造2025」計画の撤回も要求しているが、折り合える余地はなかったとみられる。米国が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に科した制裁も、中国の期待に反して緩和されていない。

 
何より重要なのは米国の自制だ。11月の中間選挙に向けた支持基盤固めを急ぎ、過激な保護貿易に走れば、米中のみならず世界の経済を縮小均衡に追い込む恐れがある。安全保障を名目に国や企業に安易な制裁を発動するのは、厳に慎まねばならない。
 
米中両国の貿易摩擦は、世界の覇権争いの一端でもある。双方が真摯な対話を重ね、決定的な衝突を避けるのが肝要だ。

 日本や欧州は世界貿易機関(WTO)への提訴も含め、行き過ぎた制裁や報復を封じる必要がある。
米国を除く11カ国の環太平洋経済連携協定(TPP11)の発効などを通じ、保護貿易に対する防波堤を固めるべきだ

 トランプ大統領誕生の原動力は「アメリカファースト」であり、その公約の実現への動きは、民主主義政治の基本で、11月の中間選挙に向け実績造りに迫られているのはやむをえないことではあります。
 しかし、自身の政局での保身の為、過激な保護貿易に走れば、米中のみならず世界の経済を縮小均衡に追い込むことになります。
 日経・社説が、国際的な通商ルールを無視する米国の罪が重いのは確かだが、やられたらやり返すと言わんばかりの中国の対応にも問題があると指摘する通りです。
 米中両国は制裁や報復を控え、対話を通じて摩擦緩和の道を探るべきとの指摘通りで、交渉継続中は両国とも制裁関税の発動を保留することでも折り合ったのだそうです。
 中国側代表団を率いた劉鶴副首相は19日、ワシントンで「今回の交渉の最大の成果は双方が貿易戦争をせず、お互いが追加関税をかけあうのを停止するとの共通認識に至ったことだ」と語り、「両国の長年の経済貿易関係の構造問題を解決するには時間がかかる」とも述べているのだそうです。

 日経・社説は、何より重要なのは米国の自制と求めています。自国の国益の為に政策を建て実行するのは当然のこと(日本にはむしろ欠けたところがありますが)ですが、国内の政局優先での過度な暴走での世界経済への混乱を産むことは、世界の経済を縮小均衡に向かわせ、巡り巡って自国の利益も減じることになります。

 米中両国の貿易摩擦は、世界の覇権争いの一端でもあると指摘、安全保障を名目に国や企業に安易な制裁を発動するのは、厳に慎まねばならないと説いていますが、世界の覇権争いで双方が譲れないところは根が深い由縁です。
 中国・習近平の、軍事力と札束とでの覇権拡大での米国に追いつき、追い越そうとする覇権拡大の「中華の夢」追及には、米国だけでなく、自由主義諸国が一致して抑止力を発揮する必要はあります。

 とはいうものの、トランプ大統領の、中国だけではなく、EUや、同盟国日本に対しても、世界中に巻き起こしつつある貿易摩擦は行き過ぎで、世界経済の混乱を産みかねない情勢です。

 社説は、日本や欧州は世界貿易機関(WTO)への提訴も含め、行き過ぎた制裁や報復を封じる必要があると指摘しています。
 日本は国益をどう護るのか。TPPを離脱して、二国間交渉で、TPP以上の譲歩を要求してくる情勢のトランプ政権。対応準備が必要です。それには、トランプ政権の誕生を、明治維新の黒船として習い、米国におんぶにだっこでありつづけたこれまでの姿勢から脱却して、普通の独立国に成長する必要がありますね。


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 セイヨウアブラナとモンシロチョウ

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by yuji_oga | 2018-05-21 02:55 | 気になる話
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