iPodの逆転劇

 街中や電車の中で"白いヘッドフォン"(白いインナーイヤー型ヘッドフォン)を見かけることが増えた...と言われても、恥ずかしながら話だけで、現物を見たことのない私には、何のことかと思ってしまいますが、お会いする経営幹部の方々(お年寄り)でも、iPodを持っておられる話は良く聞きますし、アップル社の経営が大幅に好転した話は有名です。
 ソニーの凋落と好対照なのですが、何故iPodがここまでヒットしたのかを考えた、以下の記事がありました。
競争優位を獲得する最新IT経営戦略 ; 白いヘッドホン増殖中
 
 なぜ、携帯オーディオの世界のリーダーが「ソニー」や「パナソニック」ではないのか。果たして5年前、「アップル」がこ分野の圧倒的なリーダーになると予測した人がどれくらいいただろうか。同社が米国のオンラインミュージックショップのリーダーになると予測した人はどれくらいいただろうか。そして、世界中のパソコンでこれだけ同社のミュージックプレイヤー「iTunes」が使われていると予想していただろうか。

 このテーマは、今後、「破壊的イノベーション」の最新事例として経営コンサルティング業界でも様々な形で研究されていくだろう。数年後には携帯オーディオ市場のリーダーが今度は「au」や「ドコモ」に代わっているかもしれないが、少なくとも現時点ではアップルの事例は最新の“サクセスストーリー”だ。

 ここでは、デザインというキーワードで分析されていて、外観のデザイン、機能のデザイン、そして情報デザインの3種類のデザインで語られています。
 外観のデザインは、欧州が得意とする分野とのことで、確かに車や家具などのデザインは納得です。
 機能のデザインは、日本が得意とする分野で、ユーザーの求める機能の実現やコストダウンの設計のことだそうです。ソニーのハンディカムやウォークマンと元CEOの大賀典雄氏の話が紹介されています。
 そして、アップルのiPodですが、「情報デザイン」にずれていて、これが大ヒットの理由なのだそうです。
  
 アップルのiPodや、iPodと一緒に使われるパソコンソフトのiTunesといった製品の情報デザインはきわめて米国的といえる。日本製の MP3プレイヤーと外観や機能は似ていても、操作性は全く異なる。例えば、音楽CDを挿入すれば自動的にiTunesが立ち上がって音楽CDを読み込んだり、ボタンひとつでハードディスクに圧縮保存し、ボタンひとつでiPodへ音楽を送り込んでくれる。

 しかもよく聞く音楽は聴くたびに回数をカウントしてくれており、いつも聴いている音楽だけを聴きたいと指示すると好きな歌ばかりが自動的にかかるようになっている。日本製の製品だと、こういった機能は説明書の38ページを熟読して初めて使えるといった上級機能なのだが、iPodの場合は教わらなくても直感でこういった使い方ができる。

 iPodと同時期に登場した日本の大手AV機器メーカー製のMP3プレイヤーが売れなかったのは、実にこういった使い勝手の部分が考慮されていなかったためだろう。それだけでなく著作権の保護を重視しすぎて、「ユーザーが使う」という視点を犠牲にしすぎている。「パソコンへ取り込んだ音楽ファイルは、回数3回までは携帯オーディオプレイヤーにチェックインできます」とか「コピーコントロールCDをMP3プレイヤーに取り込むためには、キーを購入してダウンロードしてください」といった、はじめての人間にはどう使ってよいのか分からないような複雑なユーザーインタフェースが逆にボトルネックになって、製品の普及を阻んでしまっていたのである。

 米国は多民族の国であり、多くの言語を使う人たちがいることから、説明書なしで使えることが重要なセールスポイントになるのですね。昔、米国に輸出する機械の操作スイッチは、文字ではなく絵文字などでカラー化し誰でもわかるものでないと駄目と言う話を聞いたことがあったのを想い出します。
 日本でも、簡単操作の携帯電話が社内の設計会議に反しヒットしているとか、機能一辺倒ではなく、人間としてのユーザーに目を向けた「情報デザイン」は、今後の注目ですね。
 ユーザーが使って、役に立ってこその売れる商品です。あたりまえの事なんですね。
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by yuji_oga | 2005-07-18 11:48 | IT備忘録 | Trackback
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