HDDが消える日

 iPodの登場は、音楽や映像の販売流通革命をおこす、新しい時代のラジオ放送の始まりとなる、CDやDVDといった記憶媒体を過去のレコードの様に一掃するなどと、多くの変革を予期させ注目されていました。
 これは、携帯が可能な小型化が、HDDを使用し大容量の記憶が実現されたことが、洗練されたデザインと相まって多くの消費者に受け入れられているからです。
 今度、「iPod mini(ミニ)」の生産を中止し、「iPod nano(ナノ)」が売り出されました。
 「iPod nano(ナノ)」は、HDDをやめ、高価なNAND型フラッシュメモリー(電気的に一括消去再書き込み可能な半導体メモリー)を採用し、更なる大容量記憶と小型・軽量化を実現したのだそうです。
 これは、CDやDVDどころか、HDDが消えてなくなることを予見させると言うのです。
 
 仕掛け人は、サムスン電子。
 フラッシュメモリは、2004年8月にくらべ、今年6月には6割を切る価格にまで値下がりしたとは言え、HDDの倍の価格で、2006年の第2四半期には1/3に迄値下がる見込みといわれているようですが、未だ高いのです。
 それでもアップルが、iPodナノに4ギガバイトのフラッシュメモリーを採用したのは、サムスン電子が相場より安い価格で提供したことによるものです。
 
フラッシュメモリー採用「iPodナノ」の衝撃、HDDが消える日 - nikkeibp.jp - 企業・経営

 進むフラッシュへの移行

 そもそもHDDの強みは、記録できる情報量当たりの単価が安いことだった。ところが、フラッシュメモリー市場の主導権を握るサムスンが需要喚起のために価格を引き下げてきたことで、HDDの需要がフラッシュメモリーに移行する可能性が出てきた。iPodナノは、その先駆けと言ってもいい。

 もともと、業界内では、「価格が半分に下がれば、小型記憶媒体の主流がフラッシュメモリーに移行すると見られている」(クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の西範也シニアアナリスト)。これはHDDと比べた場合の最大の弱点が、価格の高さにあると考えられてきたからだ。「価格がHDD並みになれば、故障しにくくて寿命が長いフラッシュメモリーがいい」。電機メーカーの技術者たちも、こう口を揃える。

 HDDの需要がフラッシュメモリーに移行していくことで痛手を被るのは、HDDメーカーだ。

 既に日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は、生産量の10%近くを占めていたiPodミニ向けHDDの需要を失った。ある日立GSTの幹部は、こう説明する。「別の取引先などに販売したことで業績への影響は少なくて済んだ。今後は20ギガバイトまで1インチHDDで実現できる見通しなので、フラッシュメモリーに対する優位性になるはずだ」。

 しかし、サムスンの攻勢は続いている。既にアップルに対して、「HDDのビット単価を下回る水準でフラッシュメモリーを供給する条件を提示したようだ」(業界関係者)。この取引によって、アップルは今後、より大容量のフラッシュメモリーを搭載したiPodを発売する公算が大きい。

 さらに、サムスンは9月12日、最大で32ギガバイトを記録できるフラッシュメモリーを発表した。2006年後半から量産する計画で、10ギガバイトを超える記憶媒体までが、フラッシュメモリーに置き換わる可能性が出てきた。

 携帯電話はもちろんのこと、フラッシュメモリーを記憶媒体としたノートパソコンの登場も視野に入る。

 小型化の強みが失われる

その時、何が起きるのか。

 フラッシュメモリーの採用が広がっていくことで、より簡単に小型で薄いモバイル機器を作れるようになる。つまり、日本企業が得意としてきた小型化の技術だけでは、製品の差別化が難しくなってくるわけだ。

 ソニーは新型ウォークマンで、本体のデザインもデザイナーに一任する異例の開発体制を取った。使いにくいことから不評だったソフトも、最初から作り直したうえで、音楽配信サービスとの連携を強化した。それらは不得手だった領域にまで踏み込まないと生き残れないという、決意の表れと言える。「ウォークマンのブランド力を再構築する」と力を込めたソニーの辻野氏は、iPodナノを手に取り、その思いを一層強くしたはずだ。

 かつて日本勢が世界を席巻した汎用DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)はサムスンを中心とした韓国勢の独壇場になり、日本が技術の先頭を走ってきた液晶も、韓国や台湾勢の価格攻勢を受けるようになった。iPodナノが見せた小ささと薄さ、軽さは、今後あらゆる製品分野で日本が立ち向かわなければならない競争の訪れを予見しているのかもしれない。(瀧本 大輔、大竹 剛)

 サムスン恐るべしとは、改めて震撼する思いです。
 同時に、日本の製造業も、高付加価値品はと安心していると、同じ土俵の競争ではなく、基本構造を変革させる発想と技術で、根底からいまの最先端技術が打ち砕かれて、無用の長物化することを知り、切磋琢磨し、新しいアイデア・知恵・発想を磨かねばなりません。

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by yuji_oga | 2005-09-25 23:20 | IT備忘録 | Trackback(1)
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