東証の技術レベルが日本の技術レベル?

 東証のトラブルが続いています。
 ほりえもんは、証券取引の盲点をついて利益をあげて来たのだそうですが、ついに、東証をも破壊し日本の情報技術のあり方にも改革の眼を向けさせてくれました。

 東証の約定(売買注文が実際に成立した状態)件数の処理能力の限界は1日450万件で、注文件数基準は、850万件なのだそうです。
 1月18日、午前の取引を終えた段階での約定件数は350万程度となり東証は「約定件数が400万件を超える場合には、システム処理の継続に支障が生じることから、株式の全銘柄について取引を停止する」と事前に通告し、注文を集約して発注するよう呼びかけましたが、注文件数は減らず、午後2時25分には約定件数が400万件程度に達した為、東証は午後2時40分に売買を停止しました。

 東証 : 投資者及び関係の皆様へ
 【特報】東証「ライブドアショック」で売買停止、システム障害を懸念 - @IT
 前代未聞の措置--東証が全銘柄の売買を自発的に停止 - CNET Japan

 資本主義経済活動の根幹である株式取引が、システムの能力不足のため、停止されたのです。
 この日、ライブドアの他にもインテルなど米国IT企業決算発表の値下げ要因、値下げに伴う投資家の保証金手当のための売りなどが重なったそうですが、全ての株が売りたくても売れない状況となってしまったのです。受注をまとめてする様呼びかけるなどは、製造業の調達でさえJITが進んでる今日、非常事態とはいえ株式取引では取引を否定する発言です。

 技術立国として自他ともに認める我が国の技術ですが、IT投資へのおそまつな内情が、世界中に披露されました。
 東証では、2月を目標にシステム増強を進めていたそうですが、レベルは450万件から500万件への増強です。2月を繰り上げて来週から実施できるよう、今日、明日で確認テストをするのだそうです。
 東証 : 投資者及び関係の皆様へ -株式等の約定に係る処理能力の増強に係るテストの実施等について-

 2001年の商法改正による「単元株制度」導入により、個人投資家の活発な動き、特にデイトレーダーの頻繁な売買取引回数増が進んでいます。
 それに備えるべき東証がシステム投資を怠ってきたツケが一挙に露呈したということです。
 処理能力アップには、ハード、回線、ソフト&プロクラムなどいろいろな改善方法が在るはずで、時間もかかるとは承知していますが、たったの11%のアップでは、焼け石に水ですね。
 海外のレベルも見比べた海外での評価は、まさに日本の技術レベルの評価をおおいに引き下げ、信用を失墜させるものです。
 NY証取 能力けた違い 1時間に4680万件 : 金融ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 asahi.com: 東証、システム投資に甘さ ライブドアショック-ビジネス
 Sankei Web 産経夕刊 海外メディア、東証酷評 ライブドアショック(01/19 15:00)

 ニューヨーク証券取引所は、通常の 4,5倍の能力をもたせ、売買注文の受け付けや約定、注文取り消しなどの業務を1秒間に1万3千件処理できる。これまで最大の処理実績は同6千件で、「取引のピーク時でも十分に余裕がある」(市場関係者)のだそうです。また、仲介人を通す立会場での売買との二本立てでの危機管理も出来ているのだそうです。
 1時間で東証の1日分が処理できていることになりますね。
 ロンドン証券取引所では、民間の取引監督機関が取引所のシステムを定期的に監視して障害の予防を行っている。
 asahi.com: 東証、システム投資に甘さ ライブドアショック-ビジネス
 asahi.com: 東証、システム投資に甘さ ライブドアショック-ビジネス
 
 更に、件数もさることながら、レスポンスでも致命的なさがあるのだそうです。
 木走日記/抜本的改良は手遅れな東京証券取引所システム~問われる技術立国日本の脆弱性

 海外メディアの論評です。
 ・19日付米紙エイジアン・ウォールストリート・ジャーナル(一面トップ)
「東証の緊急停止は、自らの技術力を誇ってきた日本という国の中枢が、驚くべき敗北宣言に追い込まれたことにほかならない」
 
 ・同日付英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)(一面トップ)
   「屈辱の再発を免れようと、絶望的な試みが続けられている」

・英紙タイムズ
   「突然、誰も株を売ることができなくなり、大混乱に陥った。寛容に表現しても、東証のPRとしてはよろしくない。公平に表現するなら、まったくもってばかげている」

 Sankei Web 産経夕刊 海外メディア、東証酷評 ライブドアショック(01/19 15:00)

 約定の件数制限は、精算システムの制限との記述が在りますが、売買、清算、決済の三段階があり、精算については、「日本証券クリアリング機構」により清算業務が行われています。
 システム開発に携わる「 株式会社 東証コンピュータシステム」など分社化なのか、アウトソーシングなのか、組織も複雑そうです。

 東証 : 清算・決済制度
 東証コンピュータシステム/会社案内/関連企業との相関図

 小口個人取引の広がりや、ネット・携帯電話による取引頻度の増大は、今後もますます進むと考えられますので、時間はかかっても米国並みに、通常取引の4,5倍、過去最大(=今回の400万+α)の倍のレベルには備えていかねばなりませんし、スピードが勝負ですので、レスポンスの改善も同時並行が必要ですね。
 小さな投資で、大きな効果を狙うのは当然必要ですが、顧客や取引形態の変化への対応、事業継続性確保・安全も含めたIT投資への志向の変革を呼びかけている事件でも在ります。


 
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by yuji_oga | 2006-01-21 23:31 | IT備忘録 | Trackback
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