少子化対策 政府与党案

 日本の国力にかかわる人口減にたいする、少子化対策の政府・与党案がまとまった(6/14)のだそうです。(6/15 日経朝刊)
少子化対策は、自民、公明両党の案と、政府の「少子化社会対策推進専門委員会」(主宰・猪口邦子少子化担当相)の報告書をたたき台として検討されていましたが、佐藤博樹東大教授(人事管理)ら民間有識者委員と、猪口担当相との間に提言内容に違いがあるとされていました。
 専門委員が猪口少子化担当相に抗議 - 社会ニュース : nikkansports.com
 asahi.com: 猪口氏の少子化対策案、6専門委員が抗議声明へ-教育

 5月15日に提出していた、少子化社会対策推進専門委員会報告書「これからの少子化対策について」では、「子育て支援の環境が整備されていない現状では経済的支援のみでは子育ての安心感にはつながらない」として、「働き方の見直し」と「地域と家庭の多様な子育て支援」を「まず取り組むべき課題」と位置づけ、「乳幼児手当」などはあえて盛り込んでいなかったのだそうですが、同氏が「政府や与党の検討会などで提案されている事項を再編成した」として諮問会議に示した案には、「出産無料化」や「乳幼児手当の創設」「不妊治療の公的助成拡大」など経済的支援が明記されたというものです。
 
少子化社会対策推進専門委員会報告(平成18年5月) これからの少子化対策について
はじめに
 2005年の我が国の総人口は、明治時代以降、第2次世界大戦の一時期を除き、初めて減少に転じる見込となった。従来の予想よりも2年早く「人口減少社会」に突入した。出生率は過去30年間にわたって低下傾向を続け、近年は、出生数も毎年過去最低を記録している。
 こうした少子化の急速な進行による人口減少と高齢化の進行は、経済成長の鈍化、税や社会保障における負担の増大、地域社会の活力の低下等、経済社会全体に広範かつ深刻な大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
 今こそ少子化の流れを変えなければならない。
<中略>
政府においては、本報告を基にして、少子化の流れを変えるため、国民に対してメッセージ性が強い新たな少子化対策を打ち出すことを期待する。

2 少子化対策の基本的考え方
(少子化対策のねらい)
 少子化対策の個々の施策がどのような効果があるかということについては、必ずしも明らかではないが、我が国よりも出生率が高い水準で推移したり、低下傾向から反転したりしている欧州諸国の取組をみると、保育サービスの充実や働き方の見直し、仕事と家庭・育児の両立支援、経済的負担の軽減など、施策相互の関連を十分考慮しつつ総合的にさまざまな施策を展開することにより、全体として、子どもを生み育てやすい社会とすることが、少子化対策として効果的
であると考えられる。
 欧州諸国の人口動向をみても、出生率の低下傾向の流れを変えることは決して不可能なことではない。第2次ベビーブーム世代やその後の世代といった、我が国にとって、まだ20代、30代の人口層が厚い時期に、インパクトがある少子化対策を講ずることが大切である。

(少子化対策の基本的な考え方)
 少子化・人口減は社会的に由々しき影響を及ぼすことが懸念されるが、結婚や子育ては個人の自発的かつ喜びを伴った選択となるべきことは言うまでもない。従って、少子化対策が目指すべきは、実際に持つ子ども数が理想の子ども数に近づくことができるような環境整備であり、それが結果的に少子化の流れを変えることにつながることが期待される。こうした観点から今後の少子化対策を考える視点として、以下の4点をあげる。
 (1)子どもの視点に立った対策が必要
 (2)子育て家庭を社会全体で支援する対策が必要
 (3)ワーク・ライフ・バランスの実現や男女共同参画の推進が必要
 (4)家族政策という観点から少子化対策を推進することが必要

 政府・与党案は、1.25まで落ち込んだ出生率を早期に反転させるため、幅広い支援策を盛り込んだのが特徴とされ、若年層がゆとりを持って出産や子育てに取り組めるよう、労働環境の改善や経済支援の拡充を打ち出したものだそうです。
 具体的には、育児を子どもの成長期に合わせ5段階に分けて対策を設定しています。
 ①妊娠・出産から乳幼児期まで
   ・乳幼児向け手当の増額
   ・出産育児一時金の手続き改善
   ・不妊治療への助成拡大
 ②小学校入学前まで
   ・育児休業や短時間勤務の普及
 ③小学生期
   ・全小学校で放課後の補習事業
   ・スクールバスの導入
 ④中学・高校・大学生期
   ・奨学金の充実
   ・学生ベビーシッターの推奨
 ⑤社会人期
   ・若者の就職支援
   ・育児後の再就職支援
   ・育児支援企業の入札時優遇

 専門委員会と担当相との対立、不明な財源確保調整を抱えた案ですが、幅広く、急いで対策を講じようとする姿勢は賛同できます。

 米国で2.07、仏で1.9と欧米主要国が少子化対策で一定の成果をあげているのは、政府の手厚い支援(仏=二子、三子で増えるほど養育手当を増やす)や、民間企業の対応(米)があるのだそうです。

 政府・与党案の対策⑥として、「子育て世代への優遇税制」「育児支援企業への優遇税制」「家族の日・家族の週間の制定」が上げられています。
 どの対策も実施された方が良いに決まっていますが、年をとった段階の対策ほど実現への壁が高く「⑤社会人期」の対策は、まさに女性の出産への障害となっている直接・最大の原因だと考えられます。

 また、これらの障害や生涯の不安を取り除くには、更にインパクトの強い対策が必要で、例えば、非難を承知で提案すれば、子供の人数で年金の受給額に差をつけるなどといったものを、更に取り入れていって欲しいと願っています。

 地方自治体でも対策を頑張って実施していて、おみあいや、住宅提供で成果を上げている事例を見聞きします。
 国よりも具体的でわかりやすい対策で、眼に見える定量的な成果があがっています。
 多くの自治体や、政府も、欧米の他に、国内の成功事例も見習うべきでしょう。


b0055292_18421969.jpg

[PR]
by yuji_oga | 2006-06-18 18:53 | 人口減少 | Trackback(1)
トラックバックURL : http://yujioga.exblog.jp/tb/5049954
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from 王様の耳はロバの耳 at 2006-07-01 12:59
タイトル : 「人口推計」算定方法見直しへ
厚労省「人口推計」見直しへ、急激な少子化で (読売新聞) - goo ニュース 地味だが大切な話が読売新聞に載っていた 表題はミスリーディング(如何にも誤解を招き易く)に書いてある 以下はその引用 「厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の人口部会(部会長・広松毅東大大学院教授)は30日、社会保障の制度設計の基礎となる将来推計人口の見直し作業に入った。  予想を上回るペースで少子化が進むなど、従来の推計の信頼性に疑問の声が出ていることから、計算方法の変更などを検討する。国立社会保障・人口問題研究...... more
<< ロングテール 三洋電機が業績回復 >>