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高級腕時計 フランク・ミューラー・ウォッチランド

 1992年に会社を設立し、わずか10年余りでスイスの高級時計業界で急成長し確固たる地位を築いたのが、フランク・ミューラー・ウォッチランドです。
 フランク・ミューラー、時計の概念を変え続ける経営 - 企業・経営 - nikkeibp.jp

 
 スイスの高級時計ブランドは、今や大手資本の時代である。70年代のクオーツショック(クオーツ時計が市場を席巻して機械式時計を駆逐したこと)で壊滅的打撃を受けて以来、資本の集約化が進んだ。老舗ブランドの中には、スウォッチ・グループやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといった大手資本の傘下に入った企業も少なくない。

 100年以上の歴史と伝統を持つブランドもあれば、資本力を兼ね備えた大手ブランドもある。フランク・ミューラーの成功それ自体が伝説と言ったのは、こうした競争環境の中で、ごく短期間で成功を収めたからだ。

 何がフランク・ミューラーを成功に導いたのか。
 ひとつは、18世紀フランスの天才時計技師、アブラアン・ルイ・ブレゲの再来と言われる創業者のフランク・ミューラーと、共同経営者でCEO(最高経営責任者)でもあるヴァルタン・シルマケス氏との出会いで、宝飾品の細工師でもあるシルマケス氏の経営の才能なのだそうです。
 研究開発投資には毎年莫大な金額を投じるとともに、積極的なM&Aでケースメーカーや部品メーカーを傘下に収め、部材のほぼ100%をグループ内で調達する体制も整えたのだそうです。
 ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、ソニーの井深大と盛田昭夫。技術者と実務者の絶妙の組み合わせで成功を収めた日本企業と通じるものがあります。
 また、株主主導で独自の経営路線を乱されるのを排除するため、株の上場公開はしないのだそうです。

 そして、成功の最大の要因はやはりその独特の製品です。
 高度な技術で従来の時計の概念を壊した他に類を見ない製品が、伝統ある他のブランドに押しつぶされることなく、成長できた源となっています。
 
クレイジーでマジックを見せる製品

クレイジー・アワーズ
 フランク・ミューラーの時計の多くは決して実用的ではない。例えば2003年に発表した「クレイジー・アワーズ」。この時計では普通の時計と違い、時刻を示す数字は12時から順番に右回りに配置されてはいない。12の位置には8があり、6の位置には2が、といった具合だ。時計の針もその不規則な文字盤に合わせて時刻自体は正確に表示する。

 また「ヴェガス」はその名から想像できるように遊びの要素を取り入れている。時計中央が実はルーレットになっている。常に針が12時00分を指し、一見止まっているように見える「マジックタイム」は、ボタンを押せば正確な時刻を表示する仕掛けだ。

 フランク・ミューラーは高度な技術で高級時計を、高価な装飾を施した時間を計る道具、時間に追われるビジネスマンのステータスシンボルといった長らく占めてきた定位置から解放したのである。

 「公の場ではどうぞ他のブランドを身に着けてください。当社の時計はプライベートな時間にこそふさわしい」とのことで、有名人に無償提供して着用してもらって宣伝するなどの方法はとらず、堂々と製品の独自性で勝負して成長してきているのです。

 独特な時計を生み出す方法について、ミューラー氏は以下のように語っています。
 
急成長するスイスの時計ブランド創始者フランク・ミューラー氏に聞く (「欧州ブランドビジネスの舞台裏」):NBonline(日経ビジネス オンライン)

 大事なことは、末端の消費者の近くに身を置くことです。消費者こそが私に色んなアイデアを与えてくれます。「どうしてこの色がないの?」「どうしてこの時計にはムーンフェースがないの?」…、といった具合ですよ。

 もっとも、アイデア段階のものには技術的には様々な障害が往々にしてありますけどね。ただ、それらは後から解決すればいいんです。


 芸術品の業界、セレブを相手にしたニッチな市場だからとも言えるかも知れませんが、人が使うものの、ものづくりには欠かせない考え方といえます。

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by yuji_oga | 2006-07-30 18:44 | 企業改革
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