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JTはグローバルM&Aで利益拡大

 わたしもたばこを吸わなくなって2年を経過しようとしていますが、高齢化・人口減に加え、健康志向による需要減を背負うJTは、国内のたばこ市場以外への活路を求め、海外たばこ市場への進出を進めています。
 M&Aで食品、医薬事業の強化に取り組んで来ましたが、収益比較の指標であるEBITDAでは、多角化事業は06年3月期に336億円で全体の8%に留まっているのだそうです。
 国内のたばこ事業のEBITDAは、約3,000億円ですが、08年度もこの水準を目標としていて、今後の成長は難しいと見るべきでしょう。

 今回、英国たばこ大手ガラハーの買収手続きを進めることを発表しましたが、1999年に米国のRJRナビスコの米国外のたばこ事業を買収したり、海外市場に進出し収益力を高めてきており、新興国市場を中心に伸びている世界のたばこ市場への進出で、将来の成長力を手に入れようとしていて、独自ブランドにこだわらず、既存ブランドを買い取ることでスピーディなシェア拡大を実現し、世界一位を目指すのだそうです。(12/15, 16 日経朝刊)
 経営者未来塾 ~次代に伝えたいこと

世界のたばこ販売本数シェア (2005年、%)

1 フィリップ・モリス(米国)            17.9
2 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国)  12.2
  日本たばこ+ガラハー            10.9
3 日本たばこ産業                7.8
4 インヘリアル(英国)               3.2
5 ガラハー(英国)                3.1
6 アルタディス(スペイン)            2.4

                   (12/15 日経朝刊)


 米格付け会社のS&Pと、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、格付投資情報センターは、15日に、JTの買収金の借り入れによる財務悪化を懸念して、格付けを引き下げ方向で見直すと発表しています。
 実質2兆円の巨額資金を投じて完全買収するという思い切った経営判断をJTが下せる背景には、約9,400億円で買収したRJRナビスコの米国外事業を軌道に乗せた自信があるからとのことです。
 当時は「買収額が高すぎる」などと株式市場での評価は散々だったそうですが、買収した海外事業は安定的に利益を拡大し、EBITDAでは44%増の940億円で、国内の停滞を保管し、借り入れた6,000億円は完済し、さらに1兆円の手元資金を積み上げたのだそうです。

 日本企業による海外企業の大型買収が相次いでいます。
 バブル期を想い出し、その二の舞が懸念されますが、当時は事業の多角化を目的とした買収が多かったのに対し、最近では本業の海外展開を強化するためのM&Aが目立つと言われています。
 欧米でも本業のM&Aが主流で、米国では買収業者の株価が多角化を伴う企業買収では下落、同じ業界での買収では上昇する傾向があるのだそうで、相乗効果を見込みやすい本業に関連するM&Aが、今後も国際競争力を高める戦略として広まっていくことが考えられます。
 日本企業の場合、少子高齢化でシュリンクする国内市場から、BRICSなど人口が拡大し高度成長の見込める市場を中心に、海外への展開は企業の存亡にかかわる重大事項と言えます。

 BRICSのなかでも、民主主義の価値観を共有し、同じアジアに位置するインドは、シン首相が来日し今後の両国の連携強化に応えてくれていますが、中国、米国の進出に対する遅れを取り戻すべく、政府も支援をして頂きたいものです。

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by yuji_oga | 2006-12-17 00:31 | 企業改革
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