まぐろ戦争

 以前に、「フィッシュ ウォーズ」という題での書き込みで、海洋資源が世界的な需要の伸びがあり、資源の争奪が激しくなってきて、日本にまわって来づらくなってきている話を書きました。
 その象徴とも言える「まぐろ」は、高度な冷凍技術を伴う流通システムが必用なことから、漁獲や流通可能な国が限られているのですが、争奪戦の激しさは、頻繁にマスコミに登場していて、後進国の追い上げも急ですね。

 世界に 5つあるマグロの地域漁業管理機関が初めて集結する「マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合」が、22日に神戸で開催され、29日からは、昨年11月にクロマグロの総漁獲枠の2割削減が決まったICCATの特別会合が東京で開かれるのだそうで、産経新聞で「まくろ戦争 限りある天然資源」と題した特集を連載しています。(1/20 ~)

 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の開催について
 まぐろ類の資源管理と貿易制度について
 
 マグロの漁法には、国際的には二つの方法があり、規制はその漁法によっても対立しているのだそうです。
 テレビによく出てくる、大間の一本釣りは規制対象外...。
 
【マグロ戦争 限りある天然資源】(上)はえ縄VS巻き網 荒れる規制議論 (1/20 産経朝刊)

江戸時代に千葉・房総半島で始まったとされる「はえ縄漁」は、海中の深部を回遊するクロマグロやメバチマフロなどの大型魚を狙う日本伝統の漁法だ。取った魚の身が崩れにくいため刺し身用のマグロの捕獲に適している。
 これに対し、「巻き網漁」は海中の浅いところを回遊する比較的小さなキハダマグロやカツオを狙う。こちらは主に缶詰用として出荷される。
 漁獲規制をめぐる国際会議では、この2つの漁法がしばしば対立する。
 エサにマグロが食らいつくのを待つはえ縄漁。網で一気にすくい上げる一網打尽の巻き網漁。はえ縄が1日1トンも取れないのに対し、巻き網の漁獲量は多いときには1日200トンにも上る。

 狙うマグロの種類、大きさ、用途が違う2つの漁法。はえ縄側が「巻き網は親になる前の魚を取るので、資源は先細りになる」と批判すれば、巻き網側は「はえ縄は親の魚を取るので、(ターゲットの)子供が生まれない」といった感じで、議論はかみ合わない。

 「刺し身」対「缶詰」の争いは熾烈(しれつ)さを増している。


 はえ縄漁は、漁船数を国際的に制限するなどしているのだそうですが、巻き網の漁船は途上国などで急増中名のだそうです。
 議論でも、はえ縄漁の論理に同意したくなりますが、漁船も急増しながら一気にすくい上げる漁法をとる巻き網漁は、資源に影響を与える印象が強いです。
 畜養まぐろは、漁獲した小さいものを大きく育てて安く大量に供給出来る良い方法かと思っていましたが、魚体数は多く採るわけで、資源減のやり玉にあげられていますね。

 漁法の対立の他に、もう一つ、漁業先進国と途上国の対立が先鋭化しているのだそうです。
 既得権を持つ先進国と、マグロ漁業を主産業にするために新たな漁獲枠がほしい途上国で、漁獲枠のとりあいになっているのです。
 途上国に「発展する権利」はありますので、29日から始まる「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)の東京会合でも、漁獲枠の再配分が「主要な争点になる」と見られているのだそうです。
 
【マグロ戦争 限りある天然資源】(中)漁業権ビジネス、先進国の強敵に (1/21 産経朝刊)

 「漁業能力がない沿岸の(途上)国の中には、自分たちの経済水域内の漁業権を入漁料や合弁会社を設立するなどの方法で先進国に“売る”ケースもある」。そう指摘するのは三宅眞・元ICCAT事務局次長だ。途上国の漁業権ビジネスが今後、「先進国にとって一番の強敵になるかもしれない」ともいう。

 昨年12月、サモアで開かれた「中西部太平洋まぐろ類委員会」(WCPFC)第3回年次会合では、漁業能力に乏しい太平洋の途上国が公海での巻き網漁禁止を提案した。

 公海での漁を制限すれば、あふれた漁船はこうした途上国の経済水域内を主漁場とせざるを得ない。漁業権の価値を上げるための提案である可能性が高い。巻き網漁がターゲットになったのは「はえ縄よりも漁獲量が多い巻き網の方が入漁料がもうかると判断したからでは」(関係者)と推測される。

 日本かつお・まぐろ漁業協同組合の石川賢廣組合長も「太平洋の国の中には、国家財政のかなりの部分を先進国が払う入漁料が占めている国もある」と指摘。「資源減少で国内の漁業者が倒産した経験がなければ規制の重要性は分かってもらえない」と嘆く。


 高度な技術と設備投資が必用なまぐろの漁獲・流通ですが、エネルギー資源同様に、産地の力が強くなり、技術を持つ国から入漁料を取り収益源に出来るようになって来ているのですから、枠さえ確保すれば高収益が得られるのです。

 また、冷凍設備のある24メートル以上の遠洋大型はえ縄漁船は、ICCATなどの地域漁業管理機関に登録しないと、マグロの国際取引ができないことになっているのですが、24メートル未満のはえ縄船による違法操業も増えているのだそうで、人件費の安い途上国に基地を設けて生マグロを空輸するケースが多く、独自の貿易ルートがすでにできあがっているのだそうです。

 規制を15メートル以上にしようとする動きもあるそうですが、月末にかけての会議の成り行きが注目されます。

 近畿大学水産研究所の養殖技術が広まり、育てる漁法で安定供給がなされる日を期待しましょう。


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by yuji_oga | 2007-01-21 21:58 | 気になる話 | Trackback
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