【続】まぐろ戦争

 先日まぐろ戦争に書いた、「マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合」と、「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の特別会合」が終わりました。

 世界に 5つあるマグロの地域漁業管理機関が初めて神戸に集結した「マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合」(1/23~26)では、以下の行動方針が採択されました。
 asahi.com:マグロ5管理機関会合、乱獲防止へ行動方針採択し閉幕-ビジネス
 マグロ類地域漁業管理機関(RFMOs)合同会合の結果について

 (1)漁業に参入する途上国に配慮しながらマグロ漁船の隻数などの漁獲能力を管理
 (2)漁船から市場までのマグロの履歴を把握するシステムを確立
 (3)違法操業した漁船リストを共有化
 (4)マグロ資源の評価手法を統一

 行動方針には拘束力がなく、各機関が独自に方針に沿った活動することや、具体的な方策がない等の批判はありますが、漁獲量削減の共通認識の確認や、違法漁船の情報の共有など、はえ縄、巻き網を包括しかつ、グローバルなまぐろ管理の第一歩が踏み出されたことは、評価出来ます。
 第二回目の会合が、2年後に欧州で開かれることも決まりました。

 昨年11月にクロマグロの総漁獲枠の2割削減が決まっていたICCATの特別会合(1/29~31・東京)は、日本など主な国・地域の2010年の漁獲枠を、06年より23%削減することと、新たに5か国(トルコ、マルタ、キプロス、シリア、ノルウェー)を規制対象に加える事を決めました。
 
漁獲枠削減 ジワリ高値 「割安」畜養クロマグロも規制強化 (2/1 読売朝刊)

 大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は31日、東部大西洋・地中海産クロマグロ(ホンマグロ)の漁獲枠を、2010年までに原則23%削減することを決めた。
 日本が消費するクロマグロの4分の3程度は東部大西洋と地中海で漁獲されており、最高級マグロが一段と「高嶺の花」になる可能性もある。特に、天然ものより割安でスーパーや回転すしでも売られている「畜養クロマグロ」への規制が強化され、「ちょっとぜいたくなマグロ」にも手が届きにくくなりそうだ。


■食卓への影響
<中略>
 今回の会合では、小さいマグロをいけすで太らせる「畜養」を行う地中海沿岸のマルタやキプロスに、新たに漁獲枠の規制がかかった。
 畜養ものは、キハダマグロなどの大衆マグロよりは高価だが、自然の海で大きく育った天然物よりは安い。昨年12月の平均価格は、天然物の多い国産の 1キロ5,129円に対し、畜養の多い輸入物は2,973円と 4割も安く、スーパーや回転すし店に出回っている。
 規制強化で、地中海産のクロマグロの漁獲削減が進めば、高級料理店などでしかお目にかかれない天然ものだけでなく、食卓にも上がる畜養マグロの値段も大きく上昇する可能性もある。

 小売り業界では「切り身の減量やメバチとの組み合わせなどで価格は維持したい」(大手スーパー関係者)など大幅な値上げは避けたいとする声が多いが、段階的な漁獲枠削減に併せて小売価格が上昇する恐れもある。

■急騰の恐れも
 今回の漁獲枠は、現在の漁獲量を 3万3000トンあまりと推計して設定している。しかし、ICCATの科学委員会は、実際には 5万トンのクロマグロが漁獲されていると推計している。
 今後、規制強化で「ヤミ漁獲」を追放して、漁獲枠が厳格に守られると、供給量が落ち込み、価格が急騰すると予測するこえもある。

 日本の漁獲枠削減は、国内の漁業者への影響も大きい。約280隻の遠洋マグロ漁船が加盟する「日本かつお・まぐろ漁業協同組合」の石川賢広組合長は、「クロマグロを主体としている漁船はメバチマグロなどに転換することになるだろう。経営を維持するため人件費の引き下げなども考えなければならない」と話している。

 台湾漁船の違法操業による大幅減船で、昨年値上がりしたクロマグロですが、昨年の漁獲枠削減方針決定以来、値上げを見込んだ買い占めも見られるのだそうです。
 天然国産ホンマグロを食べる人や需要は特定されていて、この規制によって影響されることはないのでしょうが、スーパーや回転すしでちょっと贅沢をしよという多くの人たちには、影響甚大です。スーパーやお寿司屋さんでも、ホンマグロどころかミナミマクロにも手のでない私などには、その波及でぶり(はまち)、かんぱち、ひらまさ、しまあじなど他の魚への需要の移転による影響が心配です。

 リビアとトルコが「マグロ産業の育成」を理由に、漁獲枠の増加を強く訴えたのだそうですが、「全会一致の原則」を覆して決定された今回の決定で、リビアなどが異議申し立てをICCATに対して行う可能性もあるそうです。
 意義申し立てをした国は、決定に拘束されないのだそうで、両国は枠を超える大量の漁獲が可能なのだそうです。
 日本の需要は頭打ちか現象が予測されているのだそうですが、これらの国からの輸入は控えて我慢することが大事です。
  
ICCATが決めた主な国・地域の漁獲枠  (2/1 読売朝刊)

          2006年   2010年
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EU         18,875   14,504
モロッコ       3,177    2,441
日本         2,830    2,175
チュニジア      2,625    2,017
アルジェリア    1,700    1,306
リビア        1,440    1,107
トルコ        1,033      794
マルタ         400      307
韓国          200      154
キプロス        174      134
台湾          80       61
中国          74       57
シリア         60       46
ノルウェー       60       46
―――――――――――――――――――――――
合計       33,184    25,500

 *EUは、新たに加わったマルタとキプロスを含む。(単位はトン)


 東部大西洋・地中海の遠洋で、日本の漁業のみなさんも頑張って来られたのですね。
 漁獲量が減り、賃金も減るのではたまりません。値上がりは働く人にも、資源の確保にもやむをえないことですね。



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by yuji_oga | 2007-02-04 16:36 | 気になる話 | Trackback
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