サムスンを抜いて世界一を目指す。坂本幸夫CEO
 日本に残っている唯一のDRAM専業メーカー、エルピーダメモリ(株)の代表取締役CEOの坂本幸夫氏を、NHKのプロフェッショナル 仕事の流儀 第50回(5/8放送)でとりあげていました。
 第50回(2007年5月8日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
 すみきち&スタッフブログ|住吉美紀とプロフェッショナル現場スタッフのブログ | すみきちのぶっちゃけ道ブログ | 経営者 坂本幸雄さん

 普通のサラリーマンと同じに見えるコートを着て、鞄を持って電車通勤で出社して来られる様子から、朝の仕事に取りかかっていかれる処を追っていました。電車や駅で出会っても、とても「半導体業界の救世主」と呼ばれる、大会社の社長には見えない風情です。
 高校時代は甲子園を目指す球児だったのだそうですが、自分のエラーで敗退し夢敗れ、目標を監督での出場に切り換え、日本体育大学体育学部に進まれたのだそうですが、それも叶わず卒業後は知人の紹介で日本TIに入社し、体育会系で、半導体に関する知識もなく、倉庫係として資材の出入庫の仕事につかれたのだそうです。
 しかし20年後には、抜擢され取締役を務めるまでになられました。
 在庫を把握する能力や、持ち前の体力に裏打ちされた、判断の決定に至るまでの迅速さが抜擢の理由だったそうです。

 この抜擢に応えるために、不可能の答えを言わない事を銘とし、身を粉にして業務に取り組まれましたが吐血して倒れ、3/2の胃を摘出したのだそうです。
 しかし、これを機に、何でも全てを成し遂げようとするのではなく、優先順位をつけて成し遂げていくという考えに切り替えたところ、逆に成果があがり始めたのだそうです。
 
 TIで副社長までを歴任した後、神戸製鋼所に移って半導体本部長に就任され、2000年には日本ファウンドリー(現・UMC Japan)社長へと就任しておられます。

 日本のDRAM産業は、サムスン電子の台頭で世界の花形の地位を追われ、最後にNECと日立がDRAM業界から撤退したことの表明として、エルピーダメモリが日本に残された唯一のDRAM専業メーカーとして、1999年にNEC日立メモリとして設立され、2000年に商号をエルピーダメモリに変更しています。
 そして、エルピーダメモリと日本ファウンドリーの両社から強い要請を受けて、経営危機に瀕したエルピーダメモリの統率役を引き受けられたのだそうです。
 坂本幸雄 さかもとゆきおとは | 略歴・経歴・プロフィール | エルピーダメモリ代表取締役

 決断力とスピードを重視される坂本CEOの話された、経営者(=会社勤めをして責任ある仕事をする私も含めた全ての人にも言えること)に求められることは、NHKの番組ホーム頁にまとめてありましたので、転載させて頂きます。
 
勝負の決断はこうして下せ 経営者・坂本幸雄

会社のすべてを知る
 坂本はアメリカの大手半導体メーカーを退社後、赤字企業を次々と再建し、「再生請負人」の異名を取ってきた。現在の会社も、3年連続200億を超える赤字を出していたにも関わらず、わずか1年で黒字化した。なぜ坂本の元では会社がよみがえるのか。それは、刻々と変わる会社の状況を坂本が逐一把握し、その都度適切な手を打つからだ。坂本は毎朝出社すると、まず工場の生産状況を示すデータを頭にたたき込む。それが終われば営業マンたちの立ちミーティングに参加し、現場の生の情報を仕入れる。「社長が社長室にこもって長期戦略ばかり考えているなんてあり得ない。日々の細かな情報が頭に入ってなかったら、長期戦略なんて立てようがない」(坂本)

答えはその場で出す
 「会社のすべてを知る」。その最大の利点は、経営判断のスピードにある。経営者は常に決断を迫られる存在だが、坂本が決断を棚上げすることはめったにない。必要な情報は、すでに頭の中にあるからだ。「トップが迷っていつまでも決断しないことが、最大の罪」と坂本は考える。その経営哲学は、坂本の異色の経歴と無縁ではない。体育大学を卒業し、就職したアメリカの半導体メーカーでは、工場の倉庫係からたたき上げた。経営判断の遅れが、どれほど現場に迷惑をかけるか。坂本は体に刻み込んでいる。

一人で背負う
 坂本は時に、数千億円の金が動く大きな決断を迫られる。一歩間違えれば、会社が傾きかねない。だが猛烈な重圧がかかる時こそ、坂本はすべてを一人で背負うことにこだわる。「たとえワンマンと言われようと、大きな投資はトップが一人で決めなければならない。大勢の意見を聞いていたら、リスクをとることができず、中庸な経営判断に終始してしまう。半導体業界では、そういう会社は生き残れない」(坂本)


 第50回(2007年5月8日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 また、プロフェッショナルとは、仕事が出来るだけではなく、プラスアルファーの事が考えられること。自分流のなにかをのっけてその仕事を完成させて行くことが出来るひとのことをいうとしておられます。

 番組で、一番感動したのは、Windows Vistaの期待はずれでのパソコン不審で業績が悪化したDRAM市場に、サムスンなどが弱気で生産を控え気味の情報に対し、悪いときがチャンスと、自社の新技術で先端の微細加工の70ナノ製品を繰り上げ投入しシェア拡大策を決断されたところです。
 社内の工場とのテレビ会議でも、各工場から無理との反発の声があがります。
 そして、一番の障害は、生産の提携先の瑞晶電子(レックスチップ)が、70ナノ品はリスクが大きく、生産ロスが大きく出るので、安全な90ナノ品の生産をしたいと言い出すのです。
 坂本CEOは、すぐさま台湾に飛び、粘り強く瑞晶電子の幹部を説得し、ついには70ナノ品の生産への同意をとりつけます。
 説得の決め手は、「エルピーダの新技術の70ナノ品で、一緒に頑張って世界一になろう」という熱意がこもった説得の言葉でした。
 
 是非、新技術で、ふたたび世界一の座を勝ち取っていただけることを期待しています。
 【決算】好調のエルピーダメモリ,「70nm世代品の生産能力増やす」 - 産業動向オブザーバ - Tech-On!
 エルピーダ、07年度はDRAM市況急落で70ナノ製品の移行前倒し(ロイター) - goo ニュース
 半導体7社の設備投資、高水準続く・東芝・エルピーダ積極投資ビジネス-最新ニュース:IT-PLUS




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by yuji_oga | 2007-05-19 19:08 | 企業改革 | Trackback(2)
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