フィッシュ ウォーズ2

 2006年度の「水産白書」 が22日に閣議決定されました。
 世界的な水産物の需要増で魚介類の輸入競争が激化し、日本の業者が敗れる「買い負け」が起きるなど、世界トップの水産大国としての日本の地位が脅かされている実態が浮き彫りにされました。

 以前にもフィッシュ ウォーズのタイトルで、日本の水産関連業者の苦戦状況を書きましたが、政府が白書でお墨付きを与えてくれました。
 yuu2雑記帳 : フィッシュ ウオーズ

 
水産白書 魚 奪い合う時代 中国の需要急増に警告 (5/23 読売朝刊)

<前略>
◆買い負け
  白書によると、世界の水産物貿易(輸入量)に占める日本の割合は、1995年の16%をピークに低下を続け、2004年には12%まで低下した。
  中国、米国、インドネシアが輸出した水産物における日本のシェア(占有率)も、95年の70~50%から05年は30%前後に落ち込んでいる。世界各地で、日本より外国の方が高い価格で魚を買い、日本が「買い負け」している。
  背景にはBSE(牛海綿状脳症)の発生や健康志向の高まりを背景に、欧米や中国の魚の需要が急増している事情がある。
  1人あたりの魚介類の消費量は、73~03年の30年間で、日本がほぼ横ばいに対し、アメリカは1.4倍、欧州連合(EU)は1.3倍、中国は5倍も増加した。

◆資源管理
  白書は、世界の魚の需要が増え続ける一方、漁獲量は頭打ちとなるため「水産資源を奪い合う時代が来る恐れもある」と指摘した。
  国連食糧農業機関(FAO)は、世界の魚介類の総生産が需要を下回って不足する量は、99~01年実績平均の400万トンから、15年には1,100万トンに拡大すると予測している。水産物の価格は10年まで年3.0%、11~15年は年3.2%上昇すると見込んでいる。

  日本近海の水産資源はますます重要になるが、状況は厳しい。
  過去20年の漁獲量をもとに分析したところ、資源の回復措置が必要な「低位」水準の魚群はマサバ、マイワシなど48系群にのぼる。適切に水産資源を管理すれば持続的に漁獲できる「高位」水準にある魚種はサンマ、ゴマサバなど16系群にとどまる。

  水産資源を回復するための管理の徹底が求められており、白書は「漁業関係者が合意を形成し、資源の回復と経営の改善を結びつける取り組みが必用」と提言をしている。


 一方では、日本近海の水産資源は悪化し、日本人の「魚離れ」も加速しているのだそうです。
 
全世代で魚離れ加速 (5/23 産経朝刊)

 水産物の確保が世界的に厳しさを増す中、日本国民1人当たりの魚介類の摂取量はこの約10年間に、すべての年代で減少し、肉類にシフトしていることが、22日発表された平成18年度水産白書で分かった。「肉より魚派」だった40代も「魚より肉派」に転向。水産庁は「かつてない勢いで魚離れが起きている」と魚食大国のかげりに危機感を強めている。

 水産庁は、7年と16年の肉類と魚介類の摂取量を年齢層別に調べた。

 それによると、肉類は全年代でほぼ横ばいなのに対し、魚介類の摂取量は減少。7年には、肉と魚をほぼ同等に食べていた30代、肉より魚が多かった40代で、ともに肉類が魚介類を上回るようになり、20代と同じ傾向を示した。年齢とともに魚介類を好むようになる「加齢効果」は昭和10~20年代生まれに残っているが、下の世代にはみられなくなった。

 魚離れの原因について水産庁は、子供が家庭で魚介類を好まない▽価格が安定している肉に比べて割高感がある▽魚は調理が面倒で敬遠される-などと分析。子供が嫌いな学校給食のメニューも「魚全般」が「ピーマン」を抑えて1位(農林中央金庫調べ)になっているほか、30代の主婦で「魚を自分でよくおろす」のは4・8%しかいない(農林漁業金融公庫調べ)など、今後もさらに魚介類離れが進む可能性がある。

 世界中で魚の需要が、BSEの発生や健康志向の高まりから延びているのに、日本では加齢効果もなく、魚好きの世代が高齢層にまで広がっているのは、不思議な現象です。
 子供の好き嫌いは、主にお母さんの料理により、幼少時に染みついた嗜好は生涯に影響しますね。
 お母さんが、魚料理が面倒であったり、くさくなるとかで忌避したりする影響が最も大きいと考えます。

 魚介類はまた、貧乏人の食糧として世に貢献して来ました。
 欧州の魚需要の伸びに、アフリカで欧州向けの魚の乱獲が進んでいるのだそうですが、そのとき一緒に捕れる魚で、地元での食料とされる欧州向け以外の魚が、廃棄されているそうです。アフリカの庶民層での食糧難に拍車をかけています。
 私なども子供の頃は、肉を食べられるのは特別な日で、それも鶏肉(自家飼育していた)の場合が多かったのですが、魚は貴重なタンパク源として日々の食卓に出され、美味しく頂いていました。

 魚の値段に割高感があるのに、輸入での買い付けでは他国が高く買い、買い負けていると言うのも、話が結びつかないですね。前のフィッシュウォーズの記事では、要求品質の厳しさが上げられていましたが、大きさが揃っているとか、傷がないとか、日本では消費者もさることながら、流通段階での品質評価が厳しいのは事実でしょう。
 魚漁業関係者への経営改善を求めていますが、流通段階などの改善も進め、買い付けの値段と、消費者に届く値段の間に、欧米などと比べ高コストとなっていないか、確認してほしいものです。
 日本の肉は、欧米に比べて高いのですから、それでも魚に割高感があるのは、流通段階をチェックする価値はありそうです。

 資源の管理は世界の海、日本近海ともに難題です。
 これまで規制のなかった、日本近海のマグロも規制の検討を始めるようですが、漁法、地域の漁獲対象魚齢など課題山積のようです。
 マグロは値上がりしていることから、近海での漁獲量が小型を中心に増えているのだそうですが、是非管理出来る方向ですすめてほしいものです。

 魚介類と肉では、どちらが資源の無駄が少なく、世界中の多くの人々や生物の生存の糧になるのでしょうか?
 貧乏人の見方の大衆魚が、いつまでも食卓に絶えることなく手に入れられることを願っています。


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by yuji_oga | 2007-05-27 18:08 | 気になる話 | Trackback
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