「世界を小さくする飛行機、ボーイング787」は航空機革命を招く

 ボーイングの次世代中型機「787」(通称ドリームライナー)は、完成前の段階で、すでに677機を受注し、空前のヒット作となり、受注に生産が追いつかない状況が懸念されているのだそうです。
 
“航空革命”起こせるか 「ボーイング787」長い航続距離…乗り換えなしで直行 (7/10 産経朝刊)

 【エバレット(米ワシントン州)=松尾理也】完成前の段階で、すでに677機を受注し、空前のヒット作となったボーイングの次世代中型機「787」(通称ドリームライナー)の完成記念式典が8日、シアトル郊外エバレットにある同社工場で行われた。高い経済性を武器に順調な滑り出しをみせた同機は今後、空の勢力図をがらりと塗り替えかねない可能性を持っている。

 「世界を小さくする飛行機だ」。式典冒頭、ボーイングのマクナーニ最高経営責任者(CEO)は高らかに宣言した。
  同機は機体重量比の半分に相当する炭素繊維複合材を使うことで大幅な軽量化を実現。767と比べ約20%もの燃料を節約が可能となった。原油価格が高止まりし航空会社の経営を圧迫し続けている中、「今後、787を持っているかどうかで航空会社の勝負は決まる」(AFP通信)と言われるほどの評価も不思議ではない。

 もともとボーイングは未来の航空機について、より早く目的地に到達できる機体が優位に立つと予想。2001年初めには、亜音速で飛行する上に航続距離が長い「ソニック・クルーザー」計画を発表していた。

 しかし、同年の米中枢同時テロを機に利用客が激減し、さらに石油高騰で航空会社が経営難に陥るなどしたことから、ボーイングはソニック・クルーザー開発を断念。03年初め、経済性重視の787開発へと大きく方針を転換した。結果的に運航速度は従来機と変わらないもののソニック・クルーザーの特徴を多く引き継いだ787は、中型機でありながら現行の同クラス機よりはるかに長い航続距離を持つことになった。

 この特徴を生かせば、拠点(ハブ)空港間を大型機で大量輸送し、地方へは乗り換え便を利用するという現在の空の旅のパターンを、中型機による直行便で置き換えていくことが可能。787は、そんな“航空革命”の火付け役となる力を秘めている。

<中略>

 787の「ローンチ・カスタマー(第一号購入者)」として大量導入を決めた全日空は、拠点間の大量輸送を軸とする従来の「ハブ戦略」に対して、成長著しいアジア市場を視野に各都市の都心に近い空港同士をきめ細かく直結する「ネットワーク戦略」を目指す。

 ただ、787は海外などの生産委託先が40以上に上るうえ、新素材の炭素繊維複合材を半分以上使うなど最先端技術の結晶。ボーイング側は問題ないとしているが、当初予想を大きく上回る注文殺到で、生産が間に合わないことも懸念される。

 また、ボーイングの最大のライバル、欧州のエアバス社は今年10月、総2階建ての超大型機A380第1号機をシンガポール航空に引き渡す。その広大なスペースは、窮屈な座席に押し込められるという空の旅のイメージを一変させるかもしれない。両社の戦いはこれからだ。

                   ◇
【用語解説】B787(ドリームライナー)

 客席数200~300の中型機。東レが供給する炭素繊維複合材を、777が機体重量比で12%だったのに対し、50%使用することで機体の軽量化と燃費向上に成功。また、三菱重工が主翼の設計・生産を請け負ったほか、川崎重工、富士重工も参加。全体の35%を日本企業が製造した。すでに全日空が50機、日本航空が35機をそれぞれ発注した。来年5月、全日空に世界最初の787が納入される。両社とも中国便など国際線での運用も行う方針。

 航空機の大型化・高速化が叫ばれ、国際ハブ空港やスーパーハブ空港が注目され、シンガポール、韓国で先行していて、日本の立ち後れが議論されていました。
 人と貨物の両面での検討が必用ですが、ハブ空港を経由して待ち時間がある旅程よりは、直行出来た方が、楽で速いに違いありません。
 直行便が飛ばせる需要とコストのバランスが決め手になりますが、短い滑走路で離着陸出来て、燃費が安く済む航空機が必用となります。

 ボーイングは、大型、高速化の方針を、航空会社の経営状況に合わせ変換したのでした。
 中型機でありながらはるかに長い航続距離を持つ「B787」を開発し、ハブ空港での乗り換えが不用な、中型機による直行便での旅を可能にしたのです。
 これまでの航空機網の運用を、基本から見直しが可能となる、ユーザーにとっても航空会社にとってもメリットがある革命的状況を生み出せるのです。

 その機体を産みだしたのが、東レが供給する炭素繊維複合材の技術です。
 日米で共同開発した、対地・対艦用の支援戦闘機として「ニュー零戦」の期待を背負い設計されたF2の主翼に採用され炭素繊維複合体ですが、対艦ミサイル四基を搭載すると主翼が大きく振動する欠陥が直らないことから、今年度で調達中止される状況を招いています。
 設計の誤りを認めず、鉄板で補強するなどの応急処置で凌いできて、米国側からも見放されていました。
 それが、「B787」では機能の重要な役割を占める技術として採用され、航空業界に革命を起こそうとしています。

 日本の航空会社が一号機を購入するのも、嬉しい話です。
 国産ジェット機共々、日本の製造技術が、経営に難題を持つ世界の航空業界で、その解決に向け更に活躍出来ることを願っています。


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by yuji_oga | 2007-07-15 12:20 | 気になる話 | Trackback(2)
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Tracked from The Highest .. at 2007-07-15 22:56
タイトル : 787が変える世界の空(上)
当初の計画名は「7E7」。Efficient(効率)のEを取った。8は「末広がりの八」で縁起が良いからつけた、という。 米国時間8日(日本時間9日)、ボーイング787の初号機がロールアウトする。 機種名が「787」だけに、7月8日のロールアウトとなる同機だが、この航空機が世界の空に与える影響は大きい。 まず、同機の居住性の改善には目を見張るものがある。例えば、従来与圧の関係で湿度5%以下まで乾燥しきっていた機内が、旅客機では初となる加湿器の設置で湿度20%以上にまで引き上げられる。 ...... more
Tracked from ボーイング307を船に改造 at 2007-08-04 05:12
タイトル : ボーイング307を船に改造
古いボーイング307の機体を改造して船を作成。... more
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