「米国のテレビドラマのような生活を人々が過ごす余裕はこの社会に残っていない」

 今年のこのblogのスタートは、地球温暖化問題からとしました。
 今年は洞爺湖サミットがあり、日経は元旦の社説で、底の見えぬ不安は経済を萎縮させ政治を迷走させるが、気候変動、地球温暖化は、回避の道筋が科学的に確定すれば、不安ではなく、解決可能な命題となるとし、京都議定書から10年、制度設計に背を向けてきた日本は、特殊な国というレッテルをはられつつあり、洞爺湖サミットが不安だとしながらも、日本の洞爺湖サミットの議長国としての役割を果たすことを期待しています。

 産経が、来日中の、IPCCの議長、ラジェンドラ・パチャウリ氏との会見記事を載せていました。
 「米国のテレビドラマのような生活を人々が過ごす余裕はこの社会に残っていない」と警告し、一刻も早く消費型社会から脱却し環境に配慮するよう促したのだそうです。

 
【地球をどうしますか 環境2008】IPCCパチャウリ議長に聞く (1/1 産経)


「世界に余裕はない 方向変えなければ…」


 2007年のノーベル平和賞をゴア前米副大統領と共同受賞した、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議長、ラジェンドラ・パチャウリ氏は訪日中の産経新聞との会見で、「米国のテレビドラマのような生活を人々が過ごす余裕はこの社会に残っていない」と警告し、一刻も早く消費型社会から脱却し環境に配慮するよう促した。また、温室効果ガス削減の選択肢として日本の新幹線を絶賛し、途上国への技術供与による日本の貢献にも期待をにじませた。一問一答は次の通り。(杉浦美香、犬塚陽介)

 --インドネシア・バリでの先般の気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)の評価はどうか

 「期待通りにロードマップ(行程表)が採択され、(温室効果ガスの)削減目標も議論された。今後の交渉の枠組みが築かれ、全体的にはうまくいった。(数値目標に)言及されなかったが、(今回の)討論は今後の議論の基盤となろう」

 --交渉の行方は?

 「米大統領選のように非常に重要な政治的変化を念頭に置くべきだ。個人的意見ながら、次期米大統領は次回の(COPなどの)会合に出席し、米国の関与を印象付けるべきだと思う」

 --ゴア氏は今会議の開催地のバリで、ブッシュ米政権の環境問題への対応を痛烈に批判したが

 「やはり、『ゴア氏は政治家』ということを思いださなければならない(笑い)。すべての彼の発言には政治的な意味合いがないわけではない」

 --議長は以前、環境の観点から新幹線技術の重要性を説いていたが

 「2都市の中心部を飛行機よりも速く結ぶ素晴らしい技術だ。もし米国に新幹線があれば、多くの人々は運転をやめて、飛行機での移動を選ばないだろう。どの国にも『輸送の効率化』という大変革が必要となる。特に収入が乏しく、公共交通機関に頼る途上国にとっては重要な技術だ」

 --議長は、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じてコストを負担しなければならない『低炭素社会』を提唱してもいる。

 「極めて重要だ。炭素排出量が多い燃料を、排出量が少ない燃料よりも高価に設定するといった政策の導入が必要だ」

 --CO2排出に価格を設定することは物価の上昇につながり、国際競争力の阻害要因になるとの議論が日本では根強い

 「脅威であるだけでなく、好機でもあることを思い起こすべきだろう。もし日本が低炭素技術を開発できれば、世界の市場が相手になる。他国に新幹線を導入するための低金利の計画を提供することも可能だろう。こうした施策は子供たちの未来のためでもある。しっかりした説明があれば国民は理解するだろう」

 --社会全体の消費抑制への協力ということか

 「その通りだ。北米のテレビドラマのような生活を追求するのは大きな間違いだ。この世界にはもはやそれだけの余裕はない。われわれは方向を変えなければならない」

 --だが、国際社会が一体であるわけではない

 「この問題から政治は切り離せないが、正しい方向に変化を求める世論があれば、政治は追随する。だから、世論の関心を高めることが必要だ」

 --「変化を願う前に自らが変化せよ」という(議長が尊敬する)マハトマ・ガンジーの言葉がある。それに近づけるか

 「変わらなければならない。変化をもたらそうと望むなら、われわれ自らが始める必要がある。行動しようではないか」

 
 日経が危惧する日本の態度が、『低炭素社会』への取り組みですね。
 京都議定書では、単なる規制ではなく、企業が省エネに努力し新技術を開発し、新しいシステムを取り入れて排出を削減した分、競争力が高まり、利益を得られる仕組みとして、排出権取引など経済的な手法を定めていました。
 
 この制度設計では残念ながら欧州が断然先行していて、日本は日本経団連と経済産業省の反対で排出権取引の制度化が遅れているのだそうです。

 排出権取引には、いくつかの方式があり、排出枠の初期配分については、過去の排出量を基準にするEUのグランドファザリング方式のほか、企業の初期負担は大きいが公平性は担保しやすいオークション方式、業界の標準的な技術の到達点を基準とするベンチマーク方式などがあるのだそうです。
 日本では、京都大学のク゜ループが、直接排出量の 6割を占める鉄鋼などの産業分野と電力などのエネルギー転換分野に、キャップ・アンド・トレード方式を導入し、運輸やオフィスには別の方式を適用するという、日本の実情に合わせた制度設計が提案されているのだそうです。
 ところが、政府に動きがなく、冒頭に書いた日経の「日本は、特殊な国というレッテルをはられつつある」という危惧になるのです。

 パチャウリ議長は、日本には新幹線があるじゃないかと、子供を諭すように教えてくれているのですね。
 低炭素化の新技術を開発すれば、世界中にビジネスチャンスがある。新幹線が良い例だ。脅威ではあるが、好機でもあると思考転換を進めているのです。

 官の動きのていたいにもかかわらず、民の動きは始まっているようにおもいます。
 みなさんが認識されているとおり、低炭素化の新技術は、地球温暖化に役立つのが目的ですが、同時に久しぶりの大きな新需要を喚起する、革命的な技術となる素地が出来生きている。その幕開けが、2008年となるし、その記念すべき年に洞爺湖サミットで日本が議長国を勤めることは、他の多くの外交課題も含め、低下した日本の威信を取り戻し高める機会になるということですね。

 減るどころか、まだ増え続けている日本。
 地下資源価格の高騰は、新技術の導入には追い風となると、前向きに考えるしかなく、技術立国日本のチャンスとしての成果を挙げていきたいものです。


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by yuji_oga | 2008-01-02 23:17 | 地球温暖化 | Trackback
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