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イオン IT活用で既存店売上高増

 セブン&アイ・ホールディングとイオンの二大流通グループで、総合スーパー事業の収益改善が進んでいて、8月中間期は、両者とも連結営業利益が前年同月比二桁増となったのだそうです。
(10/13 日経朝刊)

 セブン&アイではイトーヨーカ堂が、47%(79億円)アップしていますが、人件費や店舗家賃などの経費削減によるもので、既存店売上高や商品荒利益率は低下していて販売力が復活したものではありません。

 イオンも総合スーパーを手掛ける単体の増益を軸に連結営業利益を19%伸張させていますが、情報システムの活用による商品の最適発注などが定着し、既存店売上高が0.2%増と10年ぶりにプラスに転換し、衣料品を中心に在庫や値下げロスを減らし粗利益率も上昇したことによるものだそうで、両者の内容は異なっています。

 イオンは、10年前からITと物流の改革を進めてきたものがようやく実を結び、商品やオペレーションの改善が進み出したもので、このデフレの時代にインフラ整備には相当規模の投資を続けてきたことが奏功したと評価されています。
 
イオン、10年ぶりに既存店売上高がプラスに (日経情報ストラテジー発ニュース):NBonline(日経ビジネス オンライン)

<前略>
 加えて、岡田社長は「店舗での従業員教育を強化しており、教育の見直しが現場の意欲向上につながっている」と発言。それが好調のイオンの「営業力、販売力、そして現場力の強化に寄与している」との見方を示した。

 粗利益率についても、通期では前期比で0.8%の改善が見込まれている。ITと物流改革のおかげで、衣料品や日用品は在庫が着実に減ってきているからだ。

 岡田社長が今後の課題として挙げたのは、同社のプライベートブランド(PB)商品である「トップバリュ」のてこ入れである。トップバリュはこれまでイオンの成長の原動力だったが、前期はグループの売上高が停滞した。そこで商品全体の改廃と価格の見直しを進めると同時に、「来期と再来期にかけて、グループ企業内でのシステム統合を推し進める。これまではトップバリュとシステムが表裏一体の関係にあるという社内的な理解が弱かった。PB商品が大きく飛躍するには、システム基盤の共通化も欠かせない」との見解を示した。

 具体的な内容は、以下の様です。
 【イオン 第1回】750億円のIT投資でウォルマートを追撃 (これぞ、IT経営リーダー!):NBonline(日経ビジネス オンライン)
 【イオン 第2回】安売りのカギは正確な「在庫」情報 (これぞ、IT経営リーダー!):NBonline(日経ビジネス オンライン)
 【イオン 第3回】店内に張り巡らせた無線LANで売り場作業を改革 (これぞ、IT経営リーダー!):NBonline(日経ビジネス オンライン)
 【イオン 第4回】ITの専門家でなくてもCIOは務まる (これぞ、IT経営リーダー!):NBonline(日経ビジネス オンライン)
 【イオン 最終回】「部分最適」のITベンダーとは断固戦う (これぞ、IT経営リーダー!):NBonline(日経ビジネス オンライン)

 イオンのIT活用によるビジネス革新

 要点は以下の通り
 □商品原価を下げるための「IT物流プロジェクト」と、販売管理費を下げるための「BPR(ビジネスプロセス改革)プロジェクト」の両輪で利益を上げる。
 □店舗の業務プロセスを見直して、情報をリアルタイムで更新して、精度の高い実在庫を見られるようにした。
  さらに、精度が高まった在庫情報を基に、一部分野を除き、商品の自動発注を実現し、発注業務を 7割削減した。
 □店舗の売り場作業と後方事務作業の両面で業務効率を上げ、人件費を削減した。
  この実現のカギとなるのが、ネットワークの充実と、店舗内の無線LANによる情報の一元管理と、現場での作業のスピードアップ。
  
 例えば、従来は価格を変えるのに、レジの価格を変えたり、会計データを打ち込んだり、値札のシールを印刷して張ったり、数人がかりで作業する必要がありました。現在は、店員が売り場で商品のバーコードをスキャンすれば、無線経由で価格変更の有無を照会して、売り場のカウンターにあるプリンターから出てくる値札のシールを張れば済みます。商品の返品や振り替えなどあらゆる売り場作業を携帯端末に載せて、売り場で完結するようにしています。

 □店舗事務はネット経由でシェアード・サービス化
  
 後方業務にもメスを入れました。2002年にジャスコの店舗の後方業務を調べたら、勤怠管理や販促物管理、経費処理など214もの作業がありました。一つひとつの業務の必要性を検討したところ、64作業を廃止できました。

 さらに34作業を、新たに設立した「シェアード・サービス・センター」などに移管・集約する形で効率化しました。従来は紙でやっていた業務フローを、ネットワーク経由で入力する形に置き換えたわけです。シェアード・サービス・センターはグループ各社の業務も受託する形で拡大しています。

 □自社と業務系のコンサルティング会社とITベンダーの3者での新しい業務プロセスの設計と導入構築

 消費がシュリンクする中で、既存店売り上げをアップさせることが出来たのは、絶賛すべき事で、裏に10年越しの努力があったことには感心させられることです。


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by yuji_oga | 2006-10-15 00:09 | 企業改革 | Trackback

広州トヨタで、「後工程引き取り」システムが、ほぼ完成

 ジャスト・イン・タイムとか、かんばんとか、「あんどん」とか、「人偏の付く自働化」など、トヨタ生産システムは、その根本的な考え方である「後工程引き取り」が、完全な形での実現が難しかったのだそうですが、広州トヨタでほぼ完全に実現出来たのだそうです。

 トヨタ生産システム、中国で大進化遂げる - 企業・経営 - nikkeibp.jp
 
 後工程引き取りを簡単に説明すると、素材加工に始まり最終組み立てまで何百という工程がある中で、普通は前から後ろに製品を流して作っていく。1つの工程が終わったら次の工程に回すわけだ。

 これをトヨタは逆に考える。後ろの工程の作業が終わったら、前の工程から次に加工や組み立てる製品を取りに行く。順調に生産が進んでいるのであれば、普通の方法もトヨタの方法もほとんど差がない。

 しかし、何百もある工程内にムラがあったり、何らかのミスで生産が滞ったりしている場合には大きな差が出てくる。普通の方法だと工程内にいくつも在庫の山ができてしまう。

 日本でも、また、トヨタが世界各国に展開しているどの工場でもできなかった「後工程引き取り」の実現に、広州トヨタは以下のような施策を実施したのです。

□部品メーカーを含めた工場のレイアウトを工夫
  広州トヨタのすぐ隣には、デンソーやアイシン精機、フタバ産業などの部品メーカー13社が公道を挟んで広州トヨタと向き合うように配置されているいているのですが、部品を運ぶ際の時間が最も短くなるように、物流を考えて部品メーカーの配置を決めたのだそうです。

□部品物流
 ・ 新開発の専用台車が部品メーカーと広州トヨタを往復して、必要な部品を必要な時にジャスト・イン・タイムで供給しているのですが、納入時にはプラットホームから直接ひとが台車を動かすことが出来、荷下ろしや、場内の物流から、フォークリフトをなくしたのです。
   このことで、場内の通路スペースや棚のスペースがコンパクトとなり、運搬時の部品落下などの事故の危険性も減ったのです。また、ラインがどこからでも見えるようになり、不具合が起きた時の原因究明と改善がやりやすくなったのだそうです。

 ・ 専用台車の運搬は、公道を走ることが出来ないため、部品メーカー群と広州トヨタの間に走る公道の下に地下トンネルを2つ掘って、全く公道を通らずに部品が供給されるのだそうです。
   このことで、渋滞や事故によるリスクがなくされています。

 ・ 台車やトラックが走る道路も片側 2斜線とし、速度の遅い台車が前にいても、トラックは簡単に追い越せるようにし、頻繁にはおきないそんな場面でも、もしもの時の時間的ロスを避けることができる様にしたのだそうです。(広大な敷地で、白紙の状態から設計できた、広州ならではの贅沢。)

 ・ 専用台車は広州トヨタが費用を出して運行しているのだそうです。
   後工程引き取りを徹底させるには、JITで納入される他に、組み立てラインで何らかの不具合が出てラインに部品が必要なくなれば、これを止めないと、ラインのどこかで在庫が増える危険性があるとの考えで、引き取り方式なら、引き取りに行かなければ止められるとのことなのです...。
   13社以外からの部品が、44%あるのだそうですが、これは、トラックを使用した「ミルクラン」方式で、「後工程引き取り」を徹底させているのだそうです。

□組み立てラインで作業者の組みつけ間違いを防ぐために数年前に日本で開発して世界のトヨタの工場で使われているセット・パーツ・サプライ(SPS)システムも大幅に進化させ、部品の組みつけ間違いや忘れを大幅に削減させたそうです。

  SPS=作業者が部品棚から自分で必要な部品を選ぶのではなく、あらかじめ別の作業者が組み立て作業者のために、1人1台分の部品を選んで供給するシステム。

□その他にも、新しい水溶性の塗装技術や、プレス機械など現在考えられる最先端の設備や仕組みが導入されているのだそうです。
 最新鋭の自動化工場である田原工場の、自動化しすぎない、人間と機械が共存するラインのノウハウなど、世界の工場の先端技術を集約されているのだそうです。

 日本では絶対にあり得ない環境を使って、トヨタ生産システムを進化させ、場面提供してくれる中国にも、日本の生産技術の進化にも貢献してしくとのことです。
 中国へノウハウが流出する懸念については、アジアの市民として、中国やアジアへの貢献が必用としながら、広州トヨタのように製販一体で取り組んでいるトヨタでも初めての大がかりなシステムを簡単にはマネできないとの自負もあるようです。


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by yuji_oga | 2006-10-01 11:38 | 企業改革 | Trackback