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下水汚泥からの天然ガスで、市バス、ごみ収集車が走る

 神戸市と株式会社神鋼環境ソリューションは、下水処理の過程で発生するメタンガスを都市ガス(天然ガス)相当まで精製した「バイオ天然ガス」で、市バスやゴミ収集車などの公用車の試験走行を実施しているのだそうです。
 「バイオ天然ガス」を燃料とした場合、エンジンから排出される炭酸ガスは、都市ガスや石油などの化石燃料とは違い、温室効果ガスとしてはカウントされないカーボンニュートラルなクリーンエネルギーとされていて、CO2のカウントがされないのです。
 第12回 下水汚泥から自動車燃料を製造 天然ガスと同等の性状に精製 - ECO JAPAN〈エコジャパン〉 - nikkei BPnet 環境ポータル
 国内初、下水汚泥から自動車燃料ガスを精製
 日本ガス協会 バイオ天然ガス自動車

 東京都や大阪市も「CNG(圧縮天然ガス)ノンステップバス」の導入で、バリアフリーと低公害に取り組んでいますが、神鋼環境ソリューションが開発した設備を使用することで、下水汚泥や家畜汚泥の嫌気性処理で得られる消化ガスを、燃料や発電用途よりも高い品質を要求される、CNG車の燃料に使える「バイオ天然ガス」が生産されるようになったのです。

 来年には、消化ガスの処理能力を高めた実用設備を2機納入する予定で、バス(1日50km走行)40台分の天然ガスを供給できる見込みなのだそうですが、国や各地の自治体での導入が進み、コストダウンが実現され、民間車両への普及が可能となることを願っています。

 
消化ガス

汚泥を35~40度に加温し密閉して攪拌すると、メタン菌の作用によって汚泥の有機物がメタン、二酸化炭素、水などに分解される。このときに発生するガス(メタン約60%、その他二酸化炭素・硫化水素等)をいう。


 下水道用語集

 
カーボンニュートラル

 石油や石炭、天然ガスは、長い年月をかけて、地球に固定されたもので、このような石化資源を燃焼し、二酸化炭素を大気中に放出した場合には、地球の奥に保存されていた炭素を急激に放出することとなり、大気中の二酸化炭素が大きく増加する原因となります。

 これに対し、バイオガスの原料は、家畜の糞尿などの有機物であり、これを突き詰めて考えると植物の光合成によって生産された有機物です。植物の光合成は、光エネルギーと大気中の二酸化炭素から有機物を合成する反応であり、この光合成由来の有機物が最終的にバイオガスとして利用されて、二酸化炭素を放出しても、大気中の収支はプラスマイナスゼロとなります。
 このような炭素循環の考え方がカーボンニュートラルです。


 国内初、下水汚泥から自動車燃料ガスを精製



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by yuji_oga | 2007-06-24 18:26 | 地球温暖化 | Trackback(2)

日本製造業の脱下請けモデル構築

 中国に代表されるアジアの国々は、世界の工場として勤勉な民族性を活かし、安くて高品質の製品を世界に提供しています。
 かつては、日本がスパ抜けた工場だったのですが、今日では韓国、台湾、中国、ベトナムなどの東南アジア諸国に拡大しています。
 その中で、日本の製造業は、新興諸国に安くて高品質のものづくりのしかたを伝授しながら各国とトップの座を競い合う消耗戦を行っています。

 アジアの工場の盟主を守ろうとする戦略は、21世紀にも正しい日本の戦略なのだろうか? もっと真剣に国家戦略を考え直すべきである。とし、特に下請けの性格が濃い重厚長大産業の、新しいビジネスモデルとして、深海油田開発で世界のトップ争いをしている三井海洋開発について書かれた記事が在りました。
 深海の油田開発で、世界トップに挑む (宮田秀明の「経営の設計学」):NBonline(日経ビジネス オンライン)

 今年4月には、海洋政策の基本理念を定めた海洋基本法が成立し、これまでバラバラで国家戦略の体をなしていなかった政策を一体化し、国益を高め、環太平洋諸国との連携した発展を目指す体制がようやく出来ました。
 
深海の油田開発で、世界トップに挑む
 ものつくらぬ、ものづくり世界企業――三井海洋開発



 もう35年も海に関係する仕事をしてきて、痛切に思うのは、日本人のほとんどは海洋民族ではないことだ。
<中略>

 日本の海洋産業は過去30年のうちに、ほぼ実態がなくなりつつある。現在、世界の海洋機器のほぼ半分は韓国で生産されている。1980年頃には日本でも海洋開発ブームがあり、その後、6500メートルの深海まで潜れる“しんかい6000”が建造されたし、沖縄では海洋博が開かれた。民間企業も、大型の海洋開発機器の開発と製造に力を入れていた。

 それから30年近くが過ぎ、日本の海洋産業はほぼ白紙の状態にまで戻ってしまった。過去10年間に海洋開発機器を開発・製造する日本企業がしたことは、半潜水(セミサブ)型の石油掘削装置とLPガス(液化石油ガス)の海上生産設備という2つの製造プロジェクトで多額の赤字を出して、完全撤退の姿勢を業界に確認させたことだ。この2つのプロジェクトは、気持ちはあるが技術もマネジメントも中途半端な企業は世界で戦えないということを実証した。今年4月には、海洋政策の基本理念を定めた海洋基本法が国会を通った。しかし、海洋産業の現場はさびしさを通り越している。

 そんな海洋産業の中で一人気を吐いているのが三井海洋開発という企業だ。

 18年前に多角化がたたって一度倒産したが、その後、海洋油田の生産貯蔵設備に特化して、オランダのSBMに次ぐ世界第2位の企業に成長した。3年前に上場し、たった120人ほどの会社なのに、今期(2007年12月期)の連結売上高は1100億円を見込む。給与水準も東証1部上場企業の中で、トップクラスにある。

 現在、世界の石油生産の30%は海洋油田での生産で、新しく発見される油田の半分以上が海洋油田なのだそうで、今後は、この割合が7~8割になるとみられているそうです。
 こうした海洋油田開発の進歩は、浮遊式の生産設備の技術(FPSOやTLP)の進歩によるもので、掘る技術さえあれば、まだ海には多くの油田があると、三井海洋開発・山田健司社長は言っています。

 1980年代に一度解散した三井海洋開発が、その後復活して急成長した理由は、海底居住や海洋牧場、エビの養殖、潜水艇、無人で海中の作業をするROV(リモート・オペレーティング・ビークル)など、何でも手を出す、海洋開発に関する技術のデパートのような会社であったものを、FPSOやTLPが、石油や天然ガスなどのエネルギー資源開発で重要な位置を占める生産方法になると考え、その新技術の分野を専門にすることに絞り込んだことが要因のひとつです。

 もう一つは、ファブレスの企業の利点を追求し、従来国内の長大重厚産業に生産発注していたものを、シンガポール、韓国、中国に下請けさせることにしたのです。
 山田社長は、「製造における日本の競争力が落ちていく中で、我々の競争力は、自分たちが作るものを考え、それを図面に落とし込む頭脳です。ですから、日本に比べれば労働者の質は落ちますが、海外の造船所でいかに国際的な品質の仕事をさせるかというマネジメントに特化していこうと考えました。」と語っておられます。

 下請けから抜け出すだけでは利益は少ないままです。また、年間10基という需要のなかで、作っては売るの競争に明け暮れる事のリスクと疲弊がありました。
 そこでもう一つ。技術の会社として、技術をどう売るかというのを真剣に考えた結果、採用したサービスとして、建造した設備を自社保有し、石油会社に貸し出す「チャーター」と呼ぶビジネスを手掛けたのです。
 石油会社から直接仕事を請け負うことで、リスクを採る一方、石油会社はリスクを軽減出来る双方の立場が互角になると同時に、石油が採れている間は安定した収入が得られるモデルです。

 「技術の付加価値を高めることは、当社だけでなく、日本の製造業にとっても最大の課題でしょう。」「石油会社と直接契約することで、製造の階層を1つ上げるという側面があるのだと考えています。」との、山田社長談です。
 
 言ってみれば、世界の製造生産という下請け的な世界から脱出する戦略を見いだせないまま、実力も権威も低下する一方なのに、下請け組合の理事長のポストに固執し、振り返れば、自分を支えてくれている社員が、疲弊困憊してなかなか利益が出ないといった漫画のような画面さえ思い浮かぶ。そして、日本の成長率も、1人当たり国民所得も、国際競争力も、株価も低迷状況から抜け出せない。

 国家のビジネスモデルの転換が必要なのだ。欧米の下請けという製造ビジネスモデルから脱出しなければ、ただ新興諸国に負けて、徐々に席を譲るだけになるだろう。製造下請けビジネスから脱出するビジネスモデルを開発するのが今の日本にとって一番大切なことなのだ。

 新しい技術を必用とする、新たに伸びる市場は世界には少なくありません。
 ハイリゲンダム・サミットで、環境問題に米国を含めた各国が熱心に取り組んだのは、この新技術を必用とする大きな課題に参画することが、地球や人類にとっては勿論のこと、国益にも繋がるビジネスチャンスも見込めるからとも言えます。
 
 
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by yuji_oga | 2007-06-10 17:56 | 企業改革 | Trackback(1)

国産ジェット機生産へ、政府補助金拠出

 昨年(2006年)の 9 月末に、国産の名機YS-11が定期便から退役し、自衛隊などで使用されているものを除くと、国産機が姿を消していました。
 1965年に就航したプロペラ機のYS―11は、官民出資の特殊法人「日本航空機製造」が182機を生産し、日本の航空産業の優秀さを内外にアピールした名機と言われてきましたが、1973年の生産中止までの累積赤字は約360億円に上り、採算面は問題が多かったのだそうです。
 しかし、下請け専門となっている日本の航空産業の育成、発展のために国産機の上市を望む声は強く、国と三菱重工業などが官民共同で国産初のジェット旅客機(MRJ)の開発を進めてきました。

 一方、三菱重工は、ボーイング787の主翼を中心とする機体の35%(ボーイング自身の開発分担比率もコックピットや尾翼など35%)を、炭素繊維複合材の新しい技術を導入することで受注を獲得していました。
 この技術も、MRJに活かされることとなります。
 
国産ジェット 商業化へ前進 40年ぶり旅客機 (6/1 読売夕刊)

 三菱重工業が商業化を目指している国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェットの略称)」の機体の開発について、経済産業省は2008年度から、資金面で支援する事業を始める方針を固めた。開発は国の支援が前提となっており、「MRJ」の商業化へ向け大きく前進する。「MRJ」は12年に就航予定で、官民で開発した小型プロペラ機「YS―11」が1973年に生産中止に追い込まれて以来、約40年ぶりに「日の丸旅客機」の生産が復活する見通しが強まった。

機体の開発へ支援規模400億円 経産省方針
 経産省は08年度から11年度までの4年間をかけて、三菱重工が「MRJ」の機体を開発するための補助金を拠出する。「MRJ」は70~90席の小型航空機で、開発総額は約1200億円にのぼり、そのうち3割程度を国費で賄う見通しだ。
 経産省は、来年度概算要求で最大100億円程度を求める方向で調整中で、支援総額は400億円規模になる可能性がある。経産省は支援計画を6月中旬に決める政府の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込みたい考えだ。

 経産省が事業を進めるのは、三菱重工からヒアリングを行った結果、
 ①国内外の航空会社からある程度の需要が見込める
 ②機体の製造費用を採算がとれるレベルに抑えられる
 ――と判断したためだ。

 三菱重工は03年度以降、「MRJ」の準備段階として、部品などについての研究開発を進め、これに対し、国も資金支援してきた。今回の措置で機体そのものへの補助金が出ることで、本体の開発を本格化する。三菱重工は、受注獲得活動を進め、来春までに商業化を最終決定する見通しだ。
 航空機の開発費は巨額になるため、民間企業が商業化のリスクをすべて背負い込むのは難しい。このため、欧州連合(EU)諸国がエアバス航空機の開発費の3分の1に公的助成を出すなど、諸外国でも、政府が航空機の開発や商業化を支援している。

 採算に乗せるには少なくとも350機、十分な利益を確保するには600機の生産が必要とされているのだそうですが、三菱重工では、JAL、ANAとの販売交渉には現時点で納入可能なライバルのブラジル・エンブラエルやカナダ・ボンバルディアなど海外の航空機メーカーの「リース代金一部肩代わり」案を提示するなどして、国内の百数十台の大口需要獲得に取り組んでいるのだそうです。

 国産機をとばすために、税金もつぎ込もうとしているわけですから、JAL(経営が苦しいのですが)とANAには、率先して協力して欲しいものです。
 2012年就航が目標とのことですが、自動車生産技術で世界をリードする日本が、航空機やロケットでも世界のトップレベルの技術開発競争に参加し、国内産業を発展させることが出来るよう願っています。

 # 600機買ってくれる先を探すのは、生産実績のない新機種だけにたいへんですね。
   需要が最も旺盛なのは中国なのですが...。


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by yuji_oga | 2007-06-03 18:42 | 気になる話 | Trackback(2)