<   2010年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

本当に新しいものは、民主主義ではできない

 「iPhone」「iPad」の大ヒットで、IT業界の話題を独占した感のあるApple社ですが、「iPhon」の開発責任者であるモバイルデバイス担当上級副社長のマーク・ペーパーマスター氏が同社を退社したのだそうですね。
 IBMで上級幹部であったペーパーマスター氏を、裁判沙汰の上引き抜き招聘していたのですが、iPhone 4の電波受信感度への苦情をめぐる「アンテナゲート」問題が発生後、わずか16ヶ月(2008年に引き抜き、裁判を経て、2009年4月から就労)での退社です。

 消長の激しい業界で、しかも米国ということでは、さして驚くほどのことではないのかもしれませんが、iPhone 4の不具合(Apple社は不具合とは認めていない)の責任をとって辞めたということではないという論評が多いようです。

 iPhone幹部の退職、アンテナ問題でなくジョブズCEOとの不和が原因? - ITmedia News

 「iPhone4」の不具合騒動から垣間見える “専制君主”スティーブ・ジョブズの光と影|ダイヤモンド・オンライン

 「iPod」「iPhone」「iPad」と立て続けにヒット商品を送り出し、Apple社の今日の復興を成し遂げたのは、同社のカリスマCEOであるスティーブ・ジョブズであること、彼はまた、マックの創立者でありながら一度は追い出されながらも業績不振に伴い復帰したことは、諸兄がご承知の話です。

 今回の、「iPhone4」に電波受信障害は、業界の専門家からは、「スティーブ・ジョブズ個人による設計ミス」という批判も出ているのだそうです。
 しかしそれは、カリスマ性で独創と独走による発展を生み出すことと、合議でリスクを避ける石橋をたたいて保守的な開発をすることとの狭間に出来る、想定内で発生する問題でもありうるのです。
 私がよく言ってきているのは、ITの発展スピードが速い(最近は低迷しているものが多い)のは、80点で市場に出回り、ユーザーもそれを受け入れているからだということです。車や食品など、人の命に直結する商品では考えられないことです。パソコンは故障(ディスクのクラッシュ、ソフトのフリーズ)があって当たり前ですが、車でのITの障害は、トヨタのリコール事件が示すように、大事件となります。


 
「iPhone4」の不具合騒動から垣間見える “専制君主”スティーブ・ジョブズの光と影|ダイヤモンド・オンライン より抜粋


<前略>
多数決の民主主義では生まれない?専制君主制で実現したアップルの快進撃


 スティーブ・ジョブズに対しては、その強い個性ゆえに賛否両論、様々な指摘がある。しかし、1つ確かなことは、彼は「強烈な個性=独創性」を持ち、その個性が今まで存在しなかった新しい製品を生み出すことに必要不可欠だったということだ。

 いつだったか、家電メーカーで設計を担当していた友人が、「本当に新しいものは、民主主義ではできない」と言っていたことを思い出す。
 彼の言わんとするところは、「合議制で賛成多数を持って意思決定すると、多くの場合、特徴の少ないありきたりのものしか生み出すことはできない」ということだ。
 ありきたりなものではなく、本当に人々があっと驚くような新製品を構想するには、1人の独創的な意見を持った人材が、その魂に基づいた意思決定をすることが、必要になるということだ。

<中略>

 現在のアップルには、協調性に問題はあるものの、たぐい稀な独創性を持つ「専制君主=スティーブ・ジョブズ」が存在するのである。そのカリスマ性が上手く作用する場合には、すばらしい新商品として結実する一方、その独自性ゆえに、新製品チェック機能の低下というデメリットも共存することになる。
<中略>

 成長期のマイクロソフトにはビル・ゲイツがいたし、GEにはジャック・ウェルチが君臨していた。設立当初のホンダには本田宗一郎がいて、ホンダを世界ブランドまで成長させた。


ジョブズのリーダーシップは成長を目指す企業には必要不可欠

 本来、人間は本能的に「危険=リスク」を嫌う性質を持った存在である。そのため、前向きに新しいことにチャレンジするよりも、じっとリスクを回避して、安定した生活をしたいと思う気持ちの方が強くなりがちだ。

 そうした人材ばかり集まってしまうと、おそらく、大きな飛躍を望めないような組織になってしまうだろう。
 ところが、経営者、特に飛躍を期する企業の経営者には、普通の人と異なる資質を持つことが求められるようだ。
 特に現在のように、世界経済がグローバル化して、動きの早い状況下では、リスクを恐れて何もせずにいると、企業の飛躍が望めないばかりではなく、他国の有力企業に飲み込まれてしまうことも考えられる。

 そのため、経営者はいずれ、どこかの時点では相応のリスクを取ることになるのだが、そのタイミングとリスクの量については、どうしても思い切りが必要になる。
 タイミングやリスクの量については、どれほど精緻な分析をしても、不確定要素を全て消し去ることは不可能だ。あるいは、どれだけ周囲の意見を聞いても、最終的に経営者自身がリスクテイクの機能を果たすことになる。
 逆に言えば、そうした経営者がいないと、企業が大きく飛躍することは難しいと言えるだろう。わが国は、90年代初頭にバブルが崩壊して以降、右肩下がりの経済が続いていたこともあり、「企業経営者がリスクに対して臆病すぎる」という指摘もある。

 今後、わが国の経済が強くなるためには、世界に通用する企業が多く出現することが必要になる。ジョブズの経営手法を参考にすることには賛否両論がるものの、日本でも独自の判断でリスクが取れるカリスマ的経営者の存在が、必須の条件になるだろう。


 久しく大きな需要を喚起する新技術がなかったIT業界に、旋風を巻き起こした「iPod」「iPhone」「iPad」です。
 技術半分、宣伝効果半分とは思っていますが、停滞していたITに活気を呼び込んだのは間違いありませんし、その裏には、リスクを恐れず突き進む信念を持ったリーダーがいたということなのですね。

 これは、経営者=CEOに限った話ではなく、プロジェクトマネージャーであれ、部署の責任者であれ共通の話ですし、むしろ現場に近いマネージャーにこそ求められていることと言えるでしょう。

 ペーパーマスター氏と、スティーブ・ジョブズ氏。二人の間に何があったのか。
 時間の経過の中で明らかにされるのか、注目してみたいところです。iPadが何処まで普及するのかも、歳のせいか、中途半端でケームの類しか用途がないと考えている私にとっては気になるところです。



b0055292_6532421.jpg


↓よろしかったら、お願いします。


今日は何の日



[PR]
by yuji_oga | 2010-08-12 06:56 | 企業改革 | Trackback