サムスンにとっても韓国にとってもカリスマ経営者の才覚に頼り切ったツケを払う時が近づいている

 あのソニーが赤字に苦しみ、中でもテレビ事業が10期連続の赤字を計上するところまで追い込まれ、7月をめどにテレビ事業を子会社化し、赤字体質からの脱却を図ることになりました。
 東芝が平成24年3月にテレビの国内生産から撤退したほか、日立製作所も同年9月に自社生産をやめ、25年12月には、パナソニックがプラズマディスプレーパネルの生産を終了し、日本のメーカーがテレビ事業の撤退・縮小を進めるなか孤軍奮闘してきたソニーでしたが、テレビの汎用化が進むにつれ、韓国のサムスン電子やLG電子などのアジア勢が世界市場を席巻。価格競争に巻き込まれた日本勢は、次第に体力を奪われていったのです。
 これは、半導体産業でも、携帯電話やスマホ産業でも同様の流れです。
 そして、スマホの低価格化時代が到来する今後、韓国のサムスンが同様の流れに巻き込まれると見込まれるのだそうです。
 そうなれば更に、サムスンに依存する韓国経済も傾くと、大前研一氏が書いています。




 
サムスン電子は「5000円スマホ」時代を生き残れるか | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉 大前 研一

 スマートフォン(スマホ)の大ブームで躍進した韓国のサムスン電子だが、今が絶頂期でこの先には苦境が待っている。サムスン1社に依存した韓国経済も、このままでは先行きが厳しいだろう。

スマホで好調なサムスン電子は現在がピーク
 韓国最大の発行部数を誇る
朝鮮日報が1月8日、「『サムスン電子なき韓国経済』に備えよ」と題する社説を掲載した。サムスン電子の2013年10~12月の営業利益が8兆3000億ウォン(約8100億円)と、1年前より2割近く減少したと紹介。韓国経済に影響を及ぼす事態に備えるのは、韓国政府がやるべき仕事であると指摘している。

 「フィンランドでかつて輸出の25%、研究開発投資の35%、法人税収の23%を占めていたノキアは、アップルとサムスン電子の攻勢によって経営がほぼ破綻し、今ではマイクロソフト社の傘下に入ってしまった。ノキアの没落でフィンランドは国全体の成長に急ブレーキがかかり、失業率も大きく跳ね上がってしまった。
 スマートフォンの次の時代について将来像を描き、これに備えるのはサムスン電子の仕事だ。しかしサムスン電子そのものが最悪の状況に直面し、それによって韓国経済全体に及ぶ悪影響に備えるのは政府がやるべきことだ」
(朝鮮日報日本語版より)

 私も、サムスン電子は現在がピークであると考えている。スマホで好調なサムスン電子だが、行く行くはスマホの低価格化の流れに耐えきれなくなると見ている。

サムスン電子を除けば、韓国経済は大きな赤字
 
スマホは近いうちに1万円にまで価格が下がるだろう。さらにその後は、5000円くらいにまでなる可能性が高い。基本機能だけを備え、追加機能はアプリで対応するという形の低価格スマホが、特に今後売り上げ台数の中心となる新興国や途上国では、主流になるはずだからだ。
 そうなった時、現在の
サムスン電子のコスト体質で「5000円スマホ」に対応できるのか。おおいに疑問である。
 サムスン電子が低迷するだけなら、所詮は一企業の話で済む。
問題なのは、韓国経済がサムスン電子に大きく依存してしまっていることだ。
 昨年1~9月期の韓国経済は、営業利益こそマイナスだったものの、売上高と輸出はプラスだった(売上高と営業利益は韓国の上場企業1733社を基準)。
 ところが、ここからサムスン電子を除くと、風景は一変する。
プラス2.7%だった輸出はマイナス3.6%となり、プラス1.1%だった売上高はマイナス0.3%に転落。営業利益のマイナス幅も3倍以上に拡大してしまう。

サムスン電子がコケた時に代わりになる会社が存在しない
 サムスン電子の売上高は2013年で230兆ウォン(約22兆円)以上あり、韓国経済(GDP)の2割を占めている。その意味では、サムスン電子が傾いてくると韓国経済に深刻な影響を及ぼす。韓国経済はサムスン電子のおかげできれいに“お化粧”ができていたが、それが剥がれ落ちてしまうのである。
 一応、サムスン電子に次ぐ大きな会社としては、現代自動車、鉄鋼メーカーのポスコ、家電のLGといったところが存在する。しかし、これらの会社はサムスン電子に比べると大幅に小さく、いってみれば“常識的”なサイズにとどまっている。サムスン電子のサイズが別格なのだ。
 結局、このままでは
サムスン電子がコケた時に、その代わりに韓国経済を支える会社が存在しないということになる。

 続いて、「
サムスンのセグメント別業績」をご覧いただきたい。
 これを見てもわかるように、やはり
スマホを中心としたIT・モバイル部門に大きく偏っている。サムスン電子も家電部門は低迷していて、テレビ事業に至っては赤字である。

サムスンの資本構造は「半導体の集積回路図」のように複雑
 現在の李健煕(イ・ゴンヒ)会長に続くだけの力を持った
後継者が見当たらないことも、サムスン電子の将来を暗くしている。創業者・李秉喆(イ・ビョンチョル)の3男で2代目会長である李健煕氏は、経営の天才であり、独裁型の意思決定者として知られる。
 元サムスンの法務スタッフをしていた金勇澈(キム・ヨンチョル)氏の著作『サムスンの真実―告発された巨大企業』(バジリコ)を読めば、その天才経営者の異常なまでの権力志向と手法が垣間見られる。要するに
「独裁型」が経営を先鋭化して、いままでは当たりに当たった、ということである。
<中略>

カリスマに頼り切ったツケを払う時が近づいている?
 独裁型の経営者の判断が当たりに当たって、業績を伸ばしてきたという意味では、台湾の鴻海(ホンハイ)グループを率いる郭台銘(グオ・タイミン)氏とよく似ている。
 ただ、
こうした経営手法は、カリスマ的な経営者が去った後の反動が大きい。経営がマイルドになって判断が遅れ、悪循環に陥ることが想定される。

 もしかしたら、いずれ「第二のサムスン電子」が出てくるかもしれないが、今のところはそうした兆候は見られない。
サムスンにとっても韓国にとっても超巨大企業を率いるカリスマ経営者の才覚に頼り切ったツケを払う時が近づいているように思える。


 サムスンも家電部門は低迷していて、テレビ事業に至っては赤字に陥っていて、スマホを中心としたIT・モバイル部門に大きく偏っているのですね。
 そのスマホが、今後の市場とされる新興国では、基本機能だけを備え、追加機能はアプリで対応するという形の低価格スマホが主流となるとみられ、サムスンの体質でも対応が厳しくなるというのです。

 もうひとつの危惧が、現状の成長が、創業者・李秉喆(イ・ビョンチョル)の3男で2代目会長であるカリスマ経営者の李健煕(イ・ゴンヒ)会長の才能に依存していて、後継者が見当たらないこと。
 日本の様な民主経営になれば、判断力が遅くなり、日本の企業と同じ道を歩むことになる可能性があるのですね。
 勿論、サムスン自身が一番認識していることですから、製造拠点の海外への移転など、日本と同様のコストダウン戦略を展開していくことで対処するのでしょう。
 
 そうした時に問題となるのが韓国の国の経済です。
 ただでさえ、日本より大幅に高い輸出依存型経済で、おまけに記事で指摘される様な、サムスン依存経済。日本からも、サムスン向け部品の会社の投資がなされていますから、国内の空洞化が進めば、サムスン分だけにとどまらない国内経済への打撃(投資、雇用、個人消費)が考えられます。

 なので、朝鮮日報が「スマートフォンの次の時代について将来像を描き、これに備えるのはサムスン電子の仕事だ。しかしサムスン電子そのものが最悪の状況に直面し、それによって韓国経済全体に及ぶ悪影響に備えるのは政府がやるべきことだ。」と、警鐘を鳴らすのですね。

 

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by yuji_oga | 2014-02-10 00:43 | 企業改革 | Trackback
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