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「Let's note」が、新幹線制覇をした訳

 自社内、来社の取引先を問わず、持ち歩いているパソコンは、この2,3年で一気に松下電器の「Let's note」に変わりました。
 いとも簡単にIBM信者を、東芝でもソニーでもNECや, DELLでもなく、松下に変えさせた理由は何だったのでしょう。
 自社内では、軽くて丈夫という評判が口コミでひろまり、あっという間に広まったのですが、松下の開発の経緯を追った頁がありました。

 スペシャルインタビュー「新幹線制覇」の決め手はアナログへのこだわり

1.「Let's note」シリーズの企画・開発プロジェクトは、40歳以上は不参加
  1.1.R1を出荷した2002年当時、12.1インチ型の液晶ディスプレイが主流だったが、
     10.4インチ型で、重量は1kg以下,バッテリーによる駆動時間は6時間以上を目
     指した。
  1.2.後発なので、「汎用的な市場は攻めない」という基本方針で、自分たちが闘う土
     俵をビジネス・モバイル市場に限定した。

2.根性の、1Kg切り
  2.1.1g,1分を詰めるべく,開発現場は根性で取り組んでいる。
     3月に出荷する「R6」では,インテルのデュアルコア・プロセサ「Core Duo」を搭
     載。
     駆動時間は約8時間。76cmの高さから落としても壊れない機構で、930gを達
     成。
  2.2.さらに飛躍するためには,新素材の採用しかないので、先行投資して研究を進め
     ている。

3.Let's noteのモノづくりと家電メーカーとしての関係
  3.1.「家電」という意識は持っていない。
     家電との融合を意識した機種に進出する意向もなく、市場の伸びが期待され
     る、
     ビジネス・モバイルという限られた市場での強さを維持する。
  3.2.キーボード付きの携帯電話「スマートフォン」についても、ビジネス・アプリケーシ
     ョンを使用するには、今のディスプレイとキーボードの大きさが必用で、小さけれ
     ばいい,というものではない。

4.「ThinkPad」を凌駕し、新幹線車内を制覇した理由は
  4.1.R1を投入した時,ちょうどIBMが「ThinkPad s30」という、R1と同じ10.4インチ
     型の液晶ディスプレイを採用したB5サイズの機種の開発・販売を打ち切った。
  4.2.モバイルに特化した「Let's note」に、顧客が流れた。

5.「パソコンの持ち出し禁止」の影響は
  5.1.基本的なセキュリティ対策機能は用意
  5.2.セキュリティに対する考え方は千差万別で、ここまで仕事の現場に浸透したモバ
     イルを禁止する,ということになると,現場は困る。

6.国内生産を続ける訳
  6.1.設計と生産工程の密接な連携が不可欠で、Let's noteの商品力の決め手とな
     っている。国内生産でこそ実現できる技。
  6.2.コスト面では不利だが、価格に見合う付加価値がある商品造りをしている。
     丈夫さ,品質を考えれば,維持費用を含めたTCO(総所有コスト)の面でのメリッ
     トを出す。
  6.3.OSはWindows,プロセサは(米)インテルか(米)AMDの製品で,根幹の機能
     や仕様の面では,他社との差異化のしようがない。
     努力や根性という言葉がふさわしい,地道な改良、アナログな要素が,決まり
     きった仕様以上の商品価値につながっている。
     これこそ,日本のメーカーが手掛ける意味,日本の工場で作る意味があるとこ
     ろ。

7.海外展開
  7.1.国内パソコン市場は下降線だが、海外市場は伸びている。海外では液晶画面が
     12.1インチ型以上の大きさのもので展開する。
  7.2.振動している車内、(電気・ガスなど)ユーティリティ業界や工場、屋外の用途な
     ど、フィールド・モバイルの分野が確立してきているので、HP, DELLが参入しづ
     らいこの分野でのシェアを確保していく。

8.車内でのパソコン事業の評価
     テレビ事業に匹敵するほどの利益は出せないが、ボリュームが他のAV機器より
     小さいからといって,特に居心地が悪いということはない。

9.Let's noteやTOUGHBOOKに続く,「第三の柱」となる機種
     Let's noteやTOUGHBOOKにはまだまだ可能性がある。
     お客様が望む限り,重量,駆動時間,堅牢さ,いずれもまだまだ改善していく。

 「汎用的な市場は攻めない」という基本方針で、ニッチな用途に絞り込み、1Kg以下と言う厳しい目標を地道な努力の積み重ねでクリアした。
 その、戦略とマーケティングと、技術力に、10.4インチ型からのIBMの撤退、ビジネスモバイル市場の拡大が重なっての成功でした。

 それは、未だに他の追随(模倣の同等品の誕生)を許さない、高度な設計技術と生産技術に裏打ちされ、純国産で世界に羽ばたいているのです。
 日本の製造業の鏡の一つです。

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by yuji_oga | 2007-02-25 22:15 | 企業改革
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